評価のつくり方と余裕 ーロバート・ヒューイソン『文化資本―クリエイティブ・ブリテンの盛衰―』

 私は学習塾で教えていたとき、「評価」の取り方を教わったことがある。

 いわゆる授業アンケート。

 評価項目がわかれば、そこを目指して授業をすればいい。特に授業アンケートをとる前の何回かだけでも。

 でも、それは非常に退屈だ。

 学習塾ならいいかも知れないが、大学、ましてや小学校、はたまた博物館ですることには賛成しない。

 自分が行った授業に対して意見をもらったり、ここは改善した方がいいねと言われるのはいい。

 だけど、授業をする側が評価を目指して授業をしてしまうと、授業はとたんにつまらなくなるだろう。だって目的が一つになってしまうから。

 目的はたくさんあった方がいい。授業から得られることは一つとは限らない。その子が何をつかみとり、何を受け取らないのかは、その子の個性だ。
退屈な授業の間からも、私たちは何かを考えてきたし、何かを得てきた。その余裕を与えられないのは、私たちの怠慢だ。

自律性と信頼は、監督と評価に置き代わった。文化と創造性は、契約と支配により強制される。信頼は衰える。

ロバート・ヒューイソン『文化資本―クリエイティブ・ブリテンの盛衰―』p93


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