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論文・文献紹介

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博物館学にかかわる論文や文献、資料などを紹介しています。
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美術館にて公にすることとは ー藤岡作太郎『近世美術史』

いまは「あたりまえ」になっていて、気づきにくいこともある。 「あたりまえ」になる前の不自…

futabatakei28
2年前

美術家の訴える公衆とは ー 岩村透「芋洗観(七)」

 美術家の対象とする公衆と、米屋、呉服屋の対象とする公衆はちがうんだって。  例えば、美…

futabatakei28
2年前

望まない、対象化できない、新しい公衆 ーThe New Audience programme 1998-2003

 1997年、イギリスでは内閣府に社会的排除部が設置される。  1998年には、『英国を一つに-…

futabatakei28
2年前

芸術の価値をめぐる討論 ー2006年イギリスのアーツ・カウンシルの調査

 2006年、イギリスのアーツ・カウンシルは「アーツ・ディベート」を開始する。  多様な社会…

futabatakei28
2年前

「参加・体験」に対する批判と自分を射抜くこと ー田中優子「一揆を通して社会運動を…

 関心の薄い人こそ対象に。  どうやって?  「参加・体験」という手法で。  映画「MINA…

futabatakei28
2年前

「社会的排除」と「多様性」の意味は? ーロバート・ヒューイソン 『文化資本-クリ…

定義づけが困難だから、社会的包摂とか多様性とかいう言葉でむにゃっと包むんだ。 でもやっぱ…

futabatakei28
2年前

誰が参加をできるのか問題 ー君塚仁彦 「博物館展示論の視座から「地域博物館論」を読み直す」

 伊藤寿朗の第三世代論が「参加・体験」の対象としたのは、以下のような人たちであった。  しかし、次第に「第三世代論」という言葉と「参加・体験」という言葉が独り歩きするようになり、次第に「参加・体験」する人、できる人だけでサークル化していったことも否めない。  もちろん、そのようなサークルが悪いことではないし、それによってなし得ることも多い。  第三世代が、第一世代の「保存」や第二世代の「公開」というあり方そのものを否定しているのではなく、その概念を否定しているように、「

博物館世代論のこれから ー伊藤寿朗「現代博物館考」

 伊藤寿朗の第三世代論は実に魅力的で、さまざまな研究者に3.5世代とか4世代を想像させる。 …

futabatakei28
2年前
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入館料が無料になると来館者層は変わる?  ーロバート・ヒューイソン『文化資本-ク…

 2001年、イギリスではすべてのミュージアムの入館料が廃止される。(特別展は除く)  2005年…

futabatakei28
2年前

他者を理解するための「弱い自己」 ー小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』

 自己が一貫したものではなく、そのことによって「強さ(自律)」と「弱さ(依存)」をもち得…

futabatakei28
2年前
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外から博物館の存在意義を考える ー湯浅誠×田中優子「<対談>対人関係構築能力、そ…

博物館のこととして考えてみる。 博物館の社会的意義をひろく理解してもらう展示や活動が増え…

futabatakei28
2年前
2

反対している人の税金を使うこと ―湯浅誠×田中優子「<対談>対人関係構築能力、…

これって博物館のことに置き換えるとどういうこと? 博物館に賛成する人の税金だけではなく、…

futabatakei28
2年前

図書館を利用しにくい人の調査 ―アントネッラ・アンニョニ『知の広場』

図書館にいかない人の調査はされている。 ・読書が好きではない ・遠すぎる ・開館時間が不…

futabatakei28
1年前

来館者の権利憲章 ーThe 227-mile museum, or a visitors'

 ジュディ・ランドさんが書いた「来館者の権利憲章」。  11項目からなり、来館者の視点からみた、来館者のニーズをまとめたものである。例えば、快適さ、オリエンテーション、楽しみ、社交などという項目の他、尊重と挑戦と自信の項目を紹介しよう。 〇尊重 「私が誰であるか、そして私が知っていることについて受け入れてもらいたい」=来館者を疎外させるような展示キャプションになっていないか。 〇挑戦と自信 「私が挑戦できるという課題を与えてください」=展示で問われていることが、来館者に