外から博物館の存在意義を考える ー湯浅誠×田中優子「<対談>対人関係構築能力、それが世界への回路だ」

湯浅誠:私たちは現場を知っている。現実を知っている。現実をみんなは知らない。だからなんとか伝えないと、わかってもらわないと、理解してもらわないと、と。いかに説得できるか、みたいな感じで。こっちは変わらず、向こうを変えるんだというスタンスだった。向こうを変えるには私たちが変わらないと、という発想はなかったと思いますね。

湯浅誠×田中優子「<対談>対人関係構築能力、それが世界への回路だ」田中優子+法政大学社会学部「社会を変えるための実践論」講座編『そろそろ「社会運動」の話をしよう』

博物館のこととして考えてみる。

博物館の社会的意義をひろく理解してもらう展示や活動が増えてきている。被災した文化財をレスキューしたり、高齢者福祉と連携したりして、博物館が社会的意義を果たしていることを知ってもらわないと、理解してもらわないと、と。

もちろん、私だってそうやってやってきたし、そうした活動には意味があると思ってやってきた。

一方で、理解を押し付けるのではなく、互いにあゆみ寄るならば、まず自分たち自身の存在をどれくらい多面的に捉えることができるかが重要になってくるのではないか。

相手にとって自分たちはどのような意義があるといってもらえる存在なのであろうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?