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2012年浅草歌舞伎のバトンの話

23日24日の二日間にわたって3回行われました「二人を観る会」まさに猿之助さん壱太郎さんのお二人を観る贅沢な会でした。

私は初回とラストを拝見しました。その感想を書く前に、ラストの座談会で壱太郎さんが持ってきて見せてくれたバトンのこと。

猿之助さんもこれは覚えてましたね(笑)見た瞬間、私は心がきゅっと掴まれた感じになりました。2012年1月新春浅草歌舞伎 第二部「敵討天下茶屋聚」千穐楽の劇中で、猿之助さんがサプライズで壱太郎さん巳之助さんに渡したバトンです。

浅草歌舞伎を頼んだぞ。
全ての想いが詰まったバトンでした。

2012年6月に四代目猿之助襲名公演が決まり、亀治郎さんはその年で浅草出演はラストになると公言していました。(猿之助になって一度だけ戻ってくるのですが。。)浅草歌舞伎は若手の登竜門と言われ、私が歌舞伎を観始めた頃は、猿之助さん愛之助さん、中村屋の世代が中心でした。2012年になる頃にはその次の世代と混合になっていて、亀治郎さん愛之助さんはいつ抜けてもおかしくない状態に見えていました。

私は2009年から浅草歌舞伎を観ているだけでしたので、この時の千穐楽を体験して、はじめて亀治郎さんの浅草歌舞伎への想い、他の役者さん方の亀治郎さんへの想い、を少し感じることができたと思います。

その千穐楽を観た時のblogを掲載します。今日の壱太郎さんの想いを想像していただけるかもしれません。


2012年1月26日 新春浅草歌舞伎千穐楽!

新春浅草歌舞伎第2部千穐楽へ行ってきました!亀治郎さんの浅草歌舞伎ラストの日です。公演はすっごくすっごく盛り上がりました!!

ロビーの隅に亀治郎さんへのメッセージを募るコーナーが出没。横長の幕みたいな感じで5~6メートルあったでしょうか。「ありがとう」と「襲名おめでとう」の言葉のまわりにファンが寄せ書きをしました。

お芝居は先日拝見した時よりも進化していました!スピーディで、あれよあれよと場面が展開していきます。

女方の春猿さん、壱太郎さんの美しさは天下一品。亀治郎さんの見せ場の逃げまどうシーンは、客席に降りてきたけど絡めず。でも私の前の列を横切ってくれたから感謝です。

一番面白かったのは亀治郎さんが殺される場面。死んだのに、春猿さんの腕をいきなりギュッとつかみはなさない(笑)春猿さんもうろたえ、壱太郎さんも笑いをこらえられず。巳之助さん壱太郎さんが花道に移動してしまうと、一緒に行かなくてはならない春猿さん「おいてっちゃうの~」という感じで本気であせってました。いつものイタズラ(笑)

泣けたところもたくさんありました。

お年玉ご挨拶は亀治郎さん。とても熱い口上でした。浅草はインフルエンザとか風邪とかいろいろなウィルスが毎年流行るが、今年は誰一人風邪をひかず若さを感じると(笑)竹三郎さんが、せっかく下がった平均年齢を上げてしまってるとか。携帯の着信音は変な音楽に限って鳴る、、とか。今日は一回も鳴らず優秀でしたけど。お客さんのくしゃみにも器用につっこんでました。

浅草に育ててもらったと力一杯の感謝の気持ちが溢れたメッセージ。そして、次世代の役者も皆さんで育ててほしいと。心に響いて自然と涙が出てきました。

お芝居途中、いつもの春猿さん巳之助さん壱太郎さんへアドリブツッコミのコーナー♪本物のバトンを仕込み、取り出すと巳之助さん壱太郎さんに来年へのバトンタッチをしたのです。会場からはもの凄い拍手が起こり、二人はバトンを帯に挟んでその後の演技をしました。本当にラストなのだな。。とまた泣けました。

終演となりカーテンコール♪亀治郎さんが一番に登場し、その後一人一人舞台上へ。そこで先ほどの寄せ書きの出番です。男女蔵さんと亀鶴さんが持って登場!亀治郎さんは感激しながらも「粋な計らい、普通の役者は泣くかもしれないが私は泣かない!」そして、「亀が猿になってもまた戻ってきます」亀治郎さんならありえるかも。猿之助として浅草の地に戻ってくるに違いない。何だかそう感じました。

拍手が止まらず、私の涙も止まらず。幕が閉まる瞬間、亀治郎さんの目も潤んでいたような。。時々遠くを見る目に、襲名という新たなスタートに立ち、独りで道を進んでいく勇気を感じました。

亀治郎さんに感謝です。勇気と元気をありがとうございました。浅草歌舞伎はお正月の風物詩。変わらず来年も楽しみにしています。


aya


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