宙乗りからの光景

「四の切」はあと一日。
無事にここまでくることができてよかったです。千穐楽も盛り上がることを願っています。毎日でも観たい猿之助さんの狐忠信。気持ちだけ歌舞伎座に送ります。

猿之助さんはインタビューで、久しぶりの宙乗りから見た光景に「懐かしい」と言っていました。感想が聞きたかったから、この言葉は本当に嬉しく、あたたかい響きだなと思いました。初日にTV中継があったことは奇跡でした。観ることが叶わないファンも、思いを共有することができたスペシャルな初日だったと思っています。

先代から澤瀉屋の「四の切」を観てきた方もいらっしゃるでしょう。私のように四代目で出合い初演から見続けている方、また、襲名公演で初めて観た方、そして今回初めて観た方など。それぞれの想いで翔ぶ猿之助さんを見送ったかと思うと感無量です。

猿之助さんの狐忠信は今までと格段に違っていたことは、これまでのnoteで書いてきました。わかっているけど、いつも進化が想像を超えていて目が離せません。その成熟度といったらなかった。

この演目はやはり特別なのだと実感しました。猿之助さんにとって、澤瀉屋にとって。雀右衛門さんの静御前、門之助さんの義経、川連法眼の東蔵さん。猿之助さんを取り巻く皆様の気の張り具合というか。。ストーリーにグッと集中なさっているのが伝わるようで心震えました。

さらに澤瀉屋の皆様が勢揃いなのが嬉しかったです。幕開きには笑也さんが飛鳥役でした。竹三郎さんのイメージが強かったので驚きました。もう笑也さんが演じる時代になったのだなと。

また、駿河次郎の猿弥さん、亀井六郎の弘太郎さんの登場は、二人のフォルムが同じでクスっとしてしまいました。それにやっぱりこのお二人が揃うと嬉しいです。

腰元たちの登場でさらに歓喜でした。澤瀉の安心安定な方々!笑也さんを筆頭に、段之さん笑野さん寿猿さん。近習に猿三郎さん喜猿さん!嬉しい並びに特に初日の澤瀉屋ファンは湧きましたね。

この場面は猿之助さんの新演出の一つです。男性は初めて見ました(笑)

そして荒法師の中に猿四郎さんがいらしたことは感動でした。初日は興奮してわかりませんでしたが、TVで楽しんだ友人から知らせがきました。立廻りの時、常に猿之助さんの側でサポートなさり、宙乗りではワイヤーを取り付けていました。無事に猿之助さんが上がっていくのを観終わってからハケる。その真剣な眼差しに胸が熱くなりました。

宙乗りを出演者大勢で見送るスタイルも新演出。猿之助さんが鳥屋に入った後、寂しくなくて嬉しかったです。これは残してほしい。

今月はあと1回です。

無事に幕が上がり、下りますように。

そして、猿之助さんが宙からの景色を楽しめますように。


aya


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