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刀剣乱舞歌舞伎 2回目 後編

昨日今日の連休は観たいものを詰め込んだ二日間になりました。今月の舞台の見納めをしました。大衆演劇、講談、歌舞伎座。酷暑は劇場で納涼が一番です。

さて、新作歌舞伎「刀剣乱舞」これは是非ともシリーズ化して歌舞伎座で上演してほしいと思いました。松也さん方が古典歌舞伎を意識して作り、最新技術を極力使わず。。というところも歌舞伎座にぴったりかと。いろんな世代にハマる作品だと感じました。それにもっと壮大なスケールで観てみたい。あの琵琶の音は歌舞伎座で聞いたらどんな世界観になるのだろう。想像しただけでもワクワクします。

また観たいという願いを込めて後編です。
感想の続きを聞いてください。


刀剣乱舞は全く知らない私も楽しめたのは、歌舞伎という器で、出演者を知っていたのはもちろん、脚本や演出、音楽の力のお陰だと思います。

松也さんが拘ったという義太夫の一幕は感動でした。「新薄雪物語」のパロディですが、どこかで観たことがあるな。。くらい本編をうっすらしか覚えておらず(笑)鷹之資くん演じる松永久直が蔭腹をしていたのがわかった場面で驚いて自然と涙してしまった。

物語に没頭していたのか、義太夫の語りと役者さんのセリフがすべて頭に入ってきて理解できました。私にとって、初見の古典ではまずあり得ないことです。これをずっと不思議に思って考えていました。思えば言葉が現代語だったからかもしれません。松也マジックにかかってしまったのかな!?(笑)これなら歌舞伎初見の方でも理解できる人も多いと思いました。

鷹之資くんと梅玉さんの親子のやり取りに見入ってしまいあっという間に感じたのもすごい。鷹之資くんは、私はもともと古典のイメージの人です。ここを任せた松也さんもさすが。そして「新版オグリ」の時に初めてスーパー歌舞伎Ⅱに登場した鷹之資くんのぎこちなさを思うと、今回の自然体の演技は格段に進化しています。もう無敵。

刀剣男士 同田貫正国役はクールでかっこいい。二刀流でキマる形もしびれる。踊るとやはり目がいくのは、踊りが好きなのだなあと素人が見ても思えるからだと思います。


水色の髪のビジュアルに驚いた吉太朗くん。Twitterでファンとの交流を深めていましたね。SNSの力を最大限ポジティブに使ってさすが!頭が良くて、思いやりにあふれた人なのだと感動しました。膝丸役は兄弟刀の弟分。弟キャラが可愛くてぴったりでした。でも戦う姿はかっこいい。歌舞伎座でも大役をする日が近いのではないでしょうか。もっと観てみたいと思いました。

兄の髭切役は莟玉さん。すっかりお兄さんなのだなと(笑)おっとりしているのもニンですね。弟の名前を忘れちゃうキャラに笑ったけど、やはり戦う姿とのギャップにやられました。衣装の着こなしも素敵でした。

莟玉さんの二役目 義輝妹の紅梅姫。まるる~となる(笑)この方の赤姫は美しさが増しましたね。宗近を慕う様子の可愛いこと!歌舞伎以外の刀剣乱舞でこういうシーンがあるのかは不明ですが、女優さんと比べても切なさは天下一だと思います。松也さんとのペアもよかった。

また、刀剣の父と言われる小烏丸役は雪之丞さん。キャスティングが発表された時、ものすごく驚きましたし嬉しかった。私は新派にいる元澤瀉屋の皆様に歌舞伎公演に出演してほしいです。できれば澤瀉屋の芝居にも出てほしい。今回も完璧なビジュアルで登場した雪之丞さんは誇らしかった。

ワンピース歌舞伎の初演時のナミ役でした。新橋演舞場でこれでもかと観た初演です。その光景が甦りました。それにしても年を重ねても全く変わっていないのがすごい(笑)見た目は女性的ですが、小烏丸は父なのかと演技で納得。他の刀剣男士たちと馴染んでるのもさすがです。


六振りの刀剣男士たち。共通して声が素敵。それに全員がはっきり聞こえるから、名乗りも面白かったし盛り上がりました。中でも松也さん右近さんは声がよく通ります。不思議な感覚なのですが、二人の声のトーンが世界観を作っていた感覚がしています。うまく表現できないのですけど。。。音楽の世界観と一致していたというか。

音楽も素敵でした。おそらく人生で初めて生で聞いたであろう琵琶や二十五絃箏など。懐かしいのに新しくて、古風だけど現代的でもある。絶妙なところを突いていて衝撃でした。そして、BGMでもあり効果音でもある。私にはそう聞こえて概念が覆されました。歌舞伎で使用する本来の楽器たちも、もっと世界が広がりそうな感じがする。

特に、琵琶はなんで今まで歌舞伎に登場しなかったのだろう。。と思うくらい素敵でした。奏者の女性は生で歌も歌い、ミディアムな高さの朗々とした声は重厚感があって芝居にマッチしていました。初日は録音と思っていたら生歌だったのでびっくり。

そして、アクション部を使った立廻り。これは澤瀉屋でアクション部を見慣れているのでサプライズ感はないけれど、新作歌舞伎においてはアクションのプロは必要なのだと改めて思う。新・陰陽師の時のように歌舞伎に寄せると立廻りの幅が広がる。歌舞伎役者にしかできない動き、アクション部にしかできない動き、双方の味のさじ加減で作風に合わせられると思うのです。猿之助さんはそこがさすがでした。

もちろん、双方ともにやり慣れていない動きにご苦労もあるかと思います。でも私はアクション部の方が参加することで、歌舞伎のお弟子さん方がもっとセリフがあるお役に昇格しないかなと妄想しています。底上げできないかと。そうなれば嬉しいです。

そうそう、蔦之助さん國矢さんの悪役コンビの大抜擢も感動しました。実力ある方々にどんどんお役が付いてほしい。蔦之助さんの女方は少し猿之助さんに似ていました(笑)


幕切れ、松也さんの一人語りに鳥肌が立ちました。初日と雰囲気が変わっていました。自信がみなぎり、宗近そのものになっていたよう。後ろに五人が立っていて、さらにその後ろから一人一人にライトがあたり光の世界。絵面がかっこいい。自然と「また会いたい」と思えてきた。というか、また会えそう。

カーテンコールの写真撮影OKは盛り上がりました。楽しかった。撮影するより、その光景を見ているのが幸せでした。


初日のカーテンコール。
スッポンから登場した時の松也さんの表情が忘れられません。お客の顔が見えると、ほっとしたような、感動しているような。。こみ上げてくるものに照れたような表情。新作を作る重圧を感じました。


あと一日を残すのみ。千穐楽は生配信があるので興味がある方は是非。私は仕事で観ることが叶いません。未来に繋がる作品に感謝。


aya


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