團菊祭五月大歌舞伎 第三部
今日まで三連休でした。GWは忙しくさせていただいたので、ここからは仕事をペースダウンしてプライベートを楽しもうと思っています。
歌舞伎座第三部に行ってきました。尾上右近さんが本興行で初めて弁天小僧を演じるので楽しみにしていました。
その前の一幕「市原野のだんまり」’だんまり’は、歌舞伎独特の演出です。暗闇の中という設定で、手探り状態で戦ったり、お宝を奪い合ったりします。暗闇なので動きはゆっくり。これを、ただゆっくりした動きにしないのが歌舞伎役者さんの身体能力の凄さや、形や所作の美しさなのです。
様々な芝居の一部に登場する’だんまり’が、ここでは一幕になっています。梅玉さんの平井保昌を、隼人さん演じる大盗賊、袴垂保輔が襲おうとする場に面に、莟玉さんの鬼童丸(源頼光を狙う鬼)も登場します。
梅玉さんの涼やかな風情、隼人さんの勇猛な存在感、そして莟玉さんの異世界感。心鎮まる15分間でした。弁天小僧を見る前に落ちつけたかも(笑)
それにしても、ススキに月という風景は猿之助さんの「黒塚」を思い出してしまう。また黒塚が観たいです。
二つ目に「弁天娘女男白浪」歌舞伎では盗賊のことを白浪と表します。5人の盗賊の長いお話の二場面を上演です。
「知らざあ言って聞かせやしょう」から始まる名台詞。右近さんはとても気持ちよく聞かせてくれました。
弁天小僧菊之助は、男性が女性のふりをして悪さをしています。弁天小僧が化けた娘姿で登場すると、その美しさに息をのみました。この方は観るたびに美しくなっている気がします。そして、大人の魅力が備わってきたなぁと思う。
驚いたのは、正体がバレて男の声になり、伏せていた顔を上げた時。それまでの娘の顔から、ものすごい二枚目の男性の顔になっていたこと。もうこれにはびっくり。
何人かの方で弁天小僧を観たけど、この感覚は初めてでした。それこそ猿之助さんの時も無かった。若さがそうさせるのかな。何だかとてもドキドキしてしまったのです。
このお役は動きなどの段取りが多いと聞きます。キセルの扱い一つも大変だとか。猿之助さんが澤瀉屋の型で演じた時に話していました。そう見るとまだ段取っているようでもありましたが、私は気にならず、むしろ楽しくて夢中になっていました。
右近さんは瑞々しくて美しい。けど、そうであればあるほど無性に切なくなる。精一杯演じているのが、命ある限り精一杯に生きることに重なる気がして胸を打つのです。
ベテランの弁天もいいけど、猿之助さんも最高だったけど、等身大で今を演じる姿がとても輝いて感動でした。
兄貴分の南郷力丸、巳之助さんも器が大きく、大らかなセリフ回しも心地いい。右近さんといいコンビでした。
浜松屋主人の東蔵さんが登場すると空気が締まるし、番頭の橘太郎さんはさすがの当たり役!お店の皆様方のチーム感が好き(笑)この方たちあっての今回の座組だなと。
丁稚の亀三郎くんが大きくなってた!この安定感はすごいですね。福之助さんは若旦那風情、橋之助さんの鳶頭は新鮮。鳶頭は猿之助さんも演じていて江戸っ子の所作がポイントだと勝手に思っています。橋之助さん、頑張れ。
五人男勢揃いは圧巻!ここはいつもワクワクします。揃いの番傘にキャラに合ったお着物の柄。五人揃った絵がかっこいい。
日本駄右衛門の彦三郎さん、忠信利平の隼人さん、赤星十三郎の米吉さん。そして巳之助さん右近さん。全員が美声!それぞれの名乗りは必聴です。
はースッキリした。パワフルで歌舞伎らしくて面白い。夜はこのくらい華やかで元気な演目のほうが好みです。20時すぎに終演するのも私的には丁度いい。皆様も是非。
木挽町広場にはチャリティの番傘の展示があります。右近さん手描きだそう。「一般社団法人 岐阜和傘協会」の後継職人育成プロジェクトへ寄付をすることになっています。詳細はこれからのようです。
ポスターもかっこいいですよ。
aya
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