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弥次喜多流離譚 新version 2

歌舞伎座のお話。

第一部の休演していた歌之助くん福之助くん鶴松くんの復帰が決まりました。無事に帰ってくることができ本当によかった。代役の勘九郎さん七之助さんたちもホッとしていることでしょう。

そして第三部で一番初めに休演した男寅くんも戻ってきます。染五郎くん團子くんも間に合うといいなと思います。猿之助さんがインタビューで「千穐楽には揃うかも」と言っていましたので楽しみにしています。


さて、昨日の弥次喜多の代役versionを観てきた話の続きです。幸四郎さんが二日間の休みを経て帰ってきました!

終始、ワクワクした感じの幸四郎弥次さん。それを冷静に見守る猿之助喜多さん。そんな空気を感じ、もうこれは二人がお爺さんになっても観たいと愛おしくなりました。


愛おしいと言えば、92歳の寿猿さん。私が歌舞伎を観始めた14年前から見た目が変わっていないので、もう90越え!とびっくりです。しかも、今回は猿之助さんの愛で、人生初の宙乗りを披露しています。ゴンドラに乗って。

スッポンから箱に入った’鳩の精’の寿猿さんが上がってきた時の初日の驚きったらありませんでした。もしや?いやいやまさか。。と思っているうちにワイヤーが登場(笑)えー!!で、箱(ゴンドラ)ごと宙乗りに。

あああ。。猿之助さんは乗せてあげたかったのだろうな。。初日はそんな思いで泣けてきました。手を振る寿猿さんが「さよ~なら~」と言うから本当に星になっちゃうのではとヒヤヒヤしたけど。

一階から見た時は見えなくなるのが早いから逆にホッとする(笑)でも昨日はまた三階だったので寿猿さんが笑顔で皆に手を振っていて、振りむいて西側にもしていたのがわかりました。すっごく嬉しそうな笑顔に泣けてきた。幸せをいただきました。竹三郎さんも一緒に乗せてあげたかったのではないかなぁと妄想しました。

宙乗りの前の長セリフもいいのですよ。家族商店の店長である寿猿さんはダンスバトルの審査員。その果てに、愛情たっぷりなお手紙を歌舞伎の後輩たちに読むのです。読む前にワンピースの星が浜でかかったBGMがかかります。もうその曲がきただけで泣けるのですが、この日は代役を務めている人たちに労う言葉が入っていて感動でした。

その後の江の島の場面は、本来なら團子&染五郎の怒涛の早替りの場面。二人の二役を分けて早替りを無くした分、時短になっていたかもしれません。

猿弥さんが弥次喜多に「おじさんたち」と言うと、猿之助喜多さんが「おじさんにおじさんと言われたくない」とブツブツ言ったり(笑)

ここで二組のカップルが誕生するのです。猿弥さん&笑也さん、隼人さん&笑三郎さん。大人カップル(笑)いやいや少年少女ですから。

隼人さんがさらに輝くわけです。ダンスバトルもかっこよかったけど、オリビアをエスコートできるスマート男子は隼人さんしかいません!笑三郎さんも甘い雰囲気なのが素敵。染五郎くんの美少年もいいですけど、團子くんの爽やか青年もいいのです、けど。。イケメン枠はまだまだ隼人さんなのだと納得でした。

隼人さんも代役とは思えない。この方、いつからこんなに安心安定の役者さんになったのだろうか。ワンピースが始まった頃は立廻りも慣れていない感じでした。それがイナヅマの殺陣がどんどんダイナミックになり、再演のたびに楽しみなシーンになりました。役が増えていきましたよね。

その後、NARUTOの巳之助さんとの主演や、新版オグリのダブル主演。もしかしたら猿之助さんの期待を遥かに超える存在になっているのではないでしょうか。昨日の代役を観て、座頭が想像できました。すごい。もしかしたら巡り合わせ次第では弥次さんも有りだったかもしれませんね。

今回の旅は、長崎から歌舞伎座を目指しています。長崎で出会ったオリビアは巡業で観た歌舞伎役者に会いたい。そして偶然にも、その後に出会ったお夏も同じ俳優’芳沢綾人’に夢中。大道具アルバイトをしていた弥次喜多は知り合いなので、会わせてあげようと旅になるのです。

その歌舞伎座が今、大変なことになっていると聞き、江の島から歌舞伎座に急ぐことになります。猿弥さんが七三で「いざ!かま。。。歌舞伎座へ」鎌倉も通るからいいけど(笑)なんかもう皆が笑顔でした。

歌舞伎座は倒産し、道具などのオークションが開催されています。副支配人は高麗蔵さん、進行役の芳沢綾人は代役の門之助さん。門之助さんは代役ですが、普通のお役がやってきましたーしかも若手イケメン俳優!よかった。。

そしてここはワンピースの冒頭部分を彷彿とさせるオークションハンマーが登場します。あの音!あれを聞くと猿三郎さんを思います。オペラ座の怪人の曲も登場し、異空間な世界です。笑三郎さんの本役、グリーンバナナ夫人は圧巻。やっと落ち着いたわ~と登場。演じ分けもすごいです。

そこへ弥次喜多たちがやってきて、歌舞伎座の大事さ、芝居の大事さを訴えます。今の歌舞伎座の状況と重なり、猿之助さんの本心のように聞こえて心打たれました。どんなにわちゃわちゃしていても、ラストにギュッと山場を持ってくるのが猿之助さんです。心を掴まれる。

で、お馴染みの天照大神、キラキラな笑也さんが登場して歓喜の舞。曲がかかると、毎回のようにオグリがこみ上げてくる。メンバーもほぼオグリですし、そこに幸四郎さんが一緒に踊っているのも奇跡。

そこから4人で宙乗り。おそらくもう二度と無いメンバー。幸四郎さん猿之助さん隼人さん猿弥さん。見ることができただけで有難いです。猿弥さんは歌舞伎座では初ですね。以前、新橋演舞場で藤山直美さんのお芝居で翔んでましたよね?

今回も以前の四の切と同じように、宙乗りが終わってから幕を締めます。振り向くと定式幕。。ではなくて、大勢が手を振っています。これが泣ける。寂しくないのですよね。それに役者さん方に拍手ができるし。素敵な演出です。


昨年8月歌舞伎座、猿之助さんは直前の罹患で初日から主演ができませんでした。20日から舞台復帰して、演技で思いを爆発させていた。今年は自分が代役、さらに演出変更で才を発揮させました。

この方は、休んでいても、元気でも、いろんなドキドキが止まらない。どんな時でも幕を開ける方法をギリギリまで考えているのだろうと想像します。その想いが人を動かし、劇場の運命も動かすのでしょう。猿之助さんが言うように、代役でやるということは、衣装さん床山さん他、劇場スタッフが大変。イヤホンガイドも録音し直したそう。まさに総力戦でした。

今回は今までと少し違う気がします。猿之助さん自身の進化を目の当たりにしました。疫病と共存していく方向へ。ピンチはチャンスの精神。

また惚れ直してしまう。千穐楽を追加してしまった。ラストを見届けたくなりました。團子くん染五郎くんにも戻ってきてほしい。猿之助さんたちと一緒に歓喜の舞で締めたいです。叶う方は是非。


aya


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