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市川猿之助春秋座特別舞踊公演

京都春秋座「市川猿之助春秋座特別舞踊公演」千穐楽に行ってきました。猿之助さんの口上のお姿は高麗屋さんの襲名の時以来でしょうか。團子くん青虎さん、そして猿之助さんが澤瀉屋の浅葱色の裃で座る絵は夢のようでした。


疫病禍、猿之助さんはほぼ歌舞伎座なので遠征が不慣れになってしまいました。遠征して歌舞伎座に観劇なさる皆様の大変さを実感します。4時起きで新幹線に乗り、京都駅からバスで約45分で京都芸術大学内にある春秋座に着いたのが10時半頃でした。空は快晴!なんとなく秋を感じるものの蒸し暑かったです。

京都芸術大学

一階のカフェ前に看板。日曜の千穐楽とあり、すでに多くの人で賑わっていました。ここですでにめちゃめちゃテンション上がるわけです。

スタッフの学生さん方が礼儀正しくて素晴らしいのがこの劇場。アットホームな雰囲気がとても好き。歌舞伎座とはまた違った空気がいいですよね。

友人たちにも会うことができ、示し合わせているわけではないけれど、ご縁がある皆様とは自然と会えます。劇場入口は広くないけど開放的で、過去の公演ポスターや押隈などが飾ってあり嬉しい。ウェルカムな感じです。

澤瀉屋に縁ある春秋座に初御目見えの團子くん。一つ目の「独楽」は観ながら胸が熱くなりました。お家芸を一人で踊る姿は初めて観ます。こちらがドキドキします(笑)三日目だったこともあるのか、團子くんは落ち着いて見えました。

心が浄化されるような踊りでした。まだ何にも染まっていない白。きっと猿之助さんに教わったとおり、そしてものすごくお稽古を重ねてきたのだなぁと想像させる真っ直ぐさ。でもそれは本人の資質というか、個性でもあるのかと妄想しながら観てました。しつこくて濃いのが澤瀉屋だったけど(褒めてます!)、何だか違う風が吹きそう(笑)でも猿之助さんのお若い頃もこんなふうだったら。。。将来は。。

長身で手足が長く、頭が小さいという容姿に、私のほうが見慣れてきた感があります(笑)團子くんは、それを強みにしてるようで頼もしさも感じました。しかも腕が長いだけでなく手の平が大きく見えます。でもそれを上手く振りにまとめて個性となっていました。ダイナミックで颯爽としていました。

そして、どうしても重ねてしまう猿之助さんの面影。目を伏せ、口角を上げて微笑む表情が猿之助さんに似ていてドキっとしました。ラストの真剣にクルクル回る時は三代目にも似ていたと思う。皆、親子ではないけれど、澤瀉屋の芸が血縁に繋がっていく楽しみができたのだと有難く思えてきました。

後見の猿紫さんの鮮やかなこと!笑猿さんも一緒に後見をしていましたが、猿紫さんの引き抜きの様子を横から見ることができるお席でしたので感動でした。

後半、曲の調子が変わり、楽し気な雰囲気になって独楽の曲芸を披露します。物売り風情はこれから勉強かと思うのですが、独楽を回すふりをして、差し金の独楽と入れ替えるタイミングが絶妙!その後の「何か?」みたいな表情もよかった。そうそう、今回は表情も楽しめ、表現が広がってきたように思えて楽しかったです。いつかまた観てみたい。浅草歌舞伎に出演して上演してほしいな。

次の「口上」は、春秋座初御目見えの團子くん青虎さんのお披露目です。猿之助さんが仕切って行われます。

澤瀉屋三人が並ぶ様子は、澤瀉屋が代替わりしていくことを目の当たりにした気分です。そして、猿之助さんと團子くんの間にいる青虎さんが、澤瀉屋のトップ二世代を支える人になる。チーム澤瀉屋の結成式のようにも見えて感動しました。

猿之助さんの口上は、いつも個性的で愛に溢れています。今回もちょっぴり辛口モードが愛でした(笑)團子くんの口上は8才の初舞台以来!あの時は頭を下げている時にグリグリ動いちゃってたけど、素敵な青年になったとウルウルしました。

三つ目「戻駕色相肩」常磐津の舞踊です。青虎さんの襲名披露の一幕です。これがびっくり!猿之助さん青虎さんの二人だけの踊りは昔の連獅子しか記憶にないのですが、ものすごく息ぴったり。しかも青虎さんがとても大きく、やはり襲名することは、役者として意義があることなのだと実感しました。猿之助さんが四代目を襲名した時、本人は「何も変わらない」と言っていたけど、すごく進化しましたから。器を変えるとそれに見合った中身になるのだなと。

猿之助さんと青虎さんが揚幕から駕籠を担いで登場したところから「よかったねー」と幸福感でいっぱいになりました。浪花男の青虎さん、江戸男の猿之助さん。対照的なキャラが面白く、二人が楽しそうに見えて、私もワクワクしっぱなしでした。

禿たよりの壱太郎さんがかわいいー!長い間、禿はしていないと「歌舞伎ましょう」の動画で話していました。立役の二人より身長が高いはずなのに小さく見えるのがすごい。華やかで引き込まれました。三人がとてもしっくり。素敵でした。


それぞれが短いけど大満足。特に團子くんの独楽は生で観ることができて嬉しかったです。これが第一歩となり続いていきますように。澤瀉屋の希望。このまま真っ直ぐに進んでほしい。楽しみにしています。

無事に千穐楽の幕が下りた後は、同じ春秋座で15時から「ひとつなぎの会」でした。友人とランチをしてまた劇場へ。あたたかい会でした。続く。


aya


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