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「やくざ忠臣蔵」を浅草木馬館で観てきました。

先月まで体調不安が続いて私らしく観劇することが叶いませんでした。遠征から帰る→体調を崩すパターンに終止符を打つべく、遠征を封印して、心と身体が喜ぶスタイルにしていこうと思いました。

嬉しいこと悲しいこと辛いことがあったら劇場に行きたくなるのが私です。そこに好きな人はいなくとも、行きたい時に劇場に行かないとさらに身体を壊すのがわかりました。我ながらオタク気質だと感心しています。

私は猿之助さんの影響で芝居作りにも興味があります。キャスティングの妙、音楽の付け方、物語の進め方。。芝居全体、舞台全体を観るのが好き。さらに劇場自体にも興味があります。

それを作り手の脳内を妄想して話すのが好きです。歌舞伎を少しでも知っていることで大衆演劇が今、すごく楽しくなってきました。

それは、歌舞伎の話をしてくれる役者さんと出会いがあるのも一つ。好きな恋川純弥さんも同じ猿之助さんが好きですし。

歌舞伎と同じ芝居もたくさんあります。もちろん歌舞伎のまま上演ではなく、大衆演劇の形になっています。その違いも面白いと感じています。さらに劇団ごとでも演出が違うのがわかり、より興味を持つようになりました。

体調も落ち着いてきたので、以前のように劇場をハシゴしてみようと企画しました。私的チャレンジ。

昨日、浅草木馬館と川越小江戸座をハシゴできました!めちゃくちゃ楽しくて、すごくご縁を感じた一日になりました。

まずは浅草のお話。演出家の鄭義信氏が初めて大衆演劇を演出するということで観にいきました。歌舞伎や大衆演劇は演出を役者さんが兼るので珍しいことです。だから興味が湧きました。

また、今月初めて観た座長の紅 ア太郎さんがお目当てだったりもしました。

「やくざ忠臣蔵」は、忠臣蔵をやくざの世界に置き換えた物語です。忠臣蔵は歌舞伎で観て好きになった世界です。こんなに泣くとは思っておらず。。とても心に響きました。


お客が多く大盛況でした。劇団版を観ていませんが、1月に劇団 暁版を観ました。忠臣蔵を知っていれば倍面白く観られる物語。

おそらく大衆演劇に馴染のない方も多かったような雰囲気でした。演出家、ゲスト俳優 清水優さん尾上寛之さん目当ての方かもしれません。


前半は、関八州(関東八国)の取締役が集まる花会で、初めて仕切り役を務める浅野忠三郎が、前回仕切り役だった吉良屋に嫌がらせをされ、怒りのあまり斬りつけてしまう。

厳罰となる忠三郎。切腹か3年間賭場を閉めるか。忠三郎は切腹しようとしますが女房や子分に止められ生きる道へ。いったん家に帰りますが、忠三郎の心は決まっていて、子分たちがいない間に自害してしまいます。


忠三郎はア太郎さん。忠臣蔵だと浅野内匠頭。歌舞伎だとベテラン勢が演じることも多く、私は20代前半の方が演じるのは初めて観たかもしれません。所作が綺麗で気持ちいい。

思わず涙した場面がありました。本来は黒紋付の日なのに、吉良屋の嘘で一人だけ色紋付を着ていた忠三郎。はめられたと分かり、怒りを抑え落胆し色紋付を脱ぎます。そこに女房が黒紋付をかけてあげるのです。

ア太郎さんはとても繊細なお芝居に感じました。女房が心を込めて用意してくれたのに。。という気持ちが伝わる。かけた女房の手を握った時、とても愛情を感じました。

女房は梅乃井秀男さん。マンスリーゲストの方。私、初めて拝見した時に本当に女性かと思ったくらい美しい。名前を見てびっくりしました。芯が強くてキリっとして素敵。忠三郎一筋なのが伝わります。

子分役の清水優さん尾上寛之さんがいいスパイス。重い話を軽快にテンポよく進めてくれました。情に厚く、笑いどころも担当していて百戦錬磨な雰囲気プンプンしました。楽しかったです。


そして、切腹をせず家に帰り、子分や女房の手を握り「決して離さない」と叫ぶ忠三郎に涙。さらにその後の独白に涙。出ていった兄弟分の蔵三に対しての独り語り。人には言えない寂しい本音に心打たれました。この場面がいいから、この後の蔵三の登場がよりドラマティックに感じる。

忠三郎にここまで感情移入できたのは、やはり悪がいいから。吉良屋を演じた美苑隆太さんがよかった。めちゃくちゃ意地悪い。

竜也座長が言っていたけど、昭和のTVドラマで森繁久彌さんが吉良を演じていたのが品があったと。私は歌舞伎で感じる。猿之助さんの吉良は最高でした。美苑隆太さんは演出の鄭義信氏に一番演出を受けたそう。熱演でした。

竜也座長は吉良屋の息子でした。いじわる過ぎる。。。怖かった。有無を言わせない圧でした。


後半、一家を出て行った蔵三が帰ってきます。が、忠三郎が自害した後でした。まわりは蔵三に仇打ちを期待しますが、本人は酒浸りの日々。歌舞伎の一力茶屋は出てきませんが物語はそのあたりです。

蔵三の好太郎総座長がエライかっこいい登場でした!姿形が時代味あってかっこよくて。もう少し早く着いていたら。。という言葉に胸が苦しくなりました。

忠三郎の女房に縁を切る話の時も、観ているほうはわかってるから切なくて辛い。歌舞伎の’南部坂雪の別れ’を彷彿とさせる場面です。これも猿之助さんを思い出す。。。歌舞伎は静かだけど、こちらはヤクザの世界だからダイナミックになってます。好太郎さんすごかった。

家に迷惑がかからないよう縁を切って仇討ちに向かいます。立廻りがスピード感あってワクワクしました。演出が入っているからか、ひと手間かかっているというか、時代味ある殺陣と音楽のタイミングが気持ちよくて、ドラマティックで素敵でした。

仇打ちを果たして幕になるのがよかった。暁版は、蔵三たちが自害したところまであったから切なかった。今回は気持ち的に明るく締めることができました。


下手側に花道があり、そこから通路に降り、客席の間を通って上手中央の扉にはける、もしくは逆ルートもありました。空間の使い方がいつもと違いました。音楽もストレートプレイの演劇寄りなイメージ。それに違和感なく演技がはまっている役者さんたちがすごいと思いました。

普段の劇団版も観たい。忠臣蔵好きとしては大満足でテンション上がりっぱなしの観劇でした。口上で竜也座長がお稽古の話などをしてくださり倍楽しかったです。


その後は舞踊ショー。お芝居に入り込みすぎて、忠三郎が洒脱!とか、蔵三が綺麗!とか(笑)引きずり過ぎて自分が面白かったです。

ア太郎さん
ア太郎さん
ア太郎さん
好太郎さん竜也さん
好太郎さん
竜也さん

忠臣蔵が好きで文章が長くなりました。。
有難うございました。

この後は川越に移動です。


aya


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