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今年の猿之助さん Ⅱ
NHKのドラマ「岸部露伴は動かない」
今晩は猿之助さんがゲスト回でした。途中から見たら海老反りしてた(笑)身体能力を活かした得意技連発に話の内容が入ってこなかったけど、とにかく高橋一生さんと楽しそうにしていたので面白かったです。全力な猿之助さんで嬉しい(笑)
さて、今年の猿之助さんの舞台を振り返っています。
5月に入っても歌舞伎座は国の要請を受けて休演が続きましたが、12日初日の発表があり歓喜。猿之助さんは「土蜘」の源頼光役。蜘蛛と言えば私的には猿之助さんですが、この回は松緑さんが蜘蛛で退治する側が猿之助さん。いつも逆なのでとても楽しめました。頼光は動きが少なく、微動だにしない姿が美しくて品があり、いつまでも見ていたいほどでした。
6月は新作歌舞伎「日蓮」
このご時世で新作は作れるのだろうか。というか、本当に上演されるのだろうかとものすごく心配していました。そんな中、幕が開いたことがまずが奇跡だと思います。
日蓮の話が持ち上がった当初、宙乗りをはじめとした派手な場面の案があったようです。でも全てができないご時世になってしまいました。それらを封印して作った歌舞伎は、スーパー歌舞伎Ⅱのセリフ劇版といった感じ。仏教を深く信仰している部分や、澤瀉屋らしさ、そして、この疫病が流行る時代に上演する意味。。全てに猿之助さんの信念が感じられる力強い作品でした。
観るたびにセリフに説得力が増し、まるで日蓮さんが憑依したのではないかと思うほどの熱量。何かあったら仏門に入りたい。。そう話をしたことがあるので、このまま役者を辞めてしまうのではないかと危機感まで抱いたほどです(笑)
中でもラストの独り語りに、とてつもなくすごい今までに観たことがない猿之助さんが誕生したと思いました。もともと猿之助さんの語る場面は好きです。ワンピースの猿之助ルフィが仲間を想う語り、三谷かぶきの庄蔵の'笑うっていいよね'の場面、新版オグリでも藪原検校でも。
けれど演出削ぎ落としの中、シンプルなテーマをストレートに力強く語る姿は、想像を超えた破壊力で圧巻でした。
信仰の力、歌舞伎の力を信じ、猿之助さんの優しさが、そのまま日蓮さんの愛に繋がったような。
千穐楽は、倒れてしまうのではないかと思うくらい、体を使い、声を振り絞って語っていました。それは心からの叫びでした。
「お客様が聞き入ってくれている感じがする」
これは猿之助さんの感想です。客席にいてもお客が集中しているのがわかりました。空気を共有しているのだと感動です。
そして7月は「蜘蛛の絲宿直噺」
今度は猿之助さんが蜘蛛、松緑さんが倒す側(笑)外題の前に「再びのご熱望にお応えして」とありちょっと笑ってしまったのですが、昨年上演して評判がよかったので再演になったのです。
当時、五か月間の休演後、再開して歌舞伎座が初めて満席になったのが、この演目でした。
再演とはいえ、同じ内容でやってくる猿之助さんではありません。早替りを一役増やして臨み、共演者もスケールアップ&人数アップで豪華バージョンになりました。
いつもながら蜘蛛の糸を放つ猿之助さんが鮮やか。綺麗に弧を描き、落ちていく糸の滞空時間が長いのもならでは。澤瀉屋の蜘蛛は糸の量がハンパないです。頼光もいいけど、やっぱり蜘蛛が好き(笑)
今年に入り、お家芸に重きを置いているような感じだなと思い始めたのはこの頃です。翌月の三代猿之助四十八撰の加賀見山再岩藤は驚きでした。久しぶりの上演で、私は初見だったからです。
そのお話は次回に。
日蓮が長すぎて到達できませんでした。。
aya
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