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二月大歌舞伎 第二部

節分の今日は歌舞伎座の第二部を観てきました。

少し早めに行き、毎週木曜日に開催されている「歌舞伎座朝市」を楽しみました。オーガニックのマフィンとドイツパンを買い、ランチは側にある「はしご」の担担麺。寒かったので温まりました。

歌舞伎稲荷神社には二月の風物詩、地口行灯がありました。今年は「碇知盛」です。神社だけは演目にちなんだ絵です。

最初の「春調娘七種」は舞踊です。
千之助さんの静御前に、曽我十郎は梅枝さん、五郎は萬太郎さん。

私には新鮮なトリオででした。千之助さんの女方はますます美しく、梅枝さんのスッキリ二枚目な風情もいい。萬太郎さんの力強さもよかった。これは演舞場で壱太郎さんや児太郎さんで観たなと思い出しました。やはり、その時よりも歌舞伎座は広いなぁという印象ですが、初々しくて素敵でした。

20分の幕間を挟んで「義経千本桜~渡海屋 大物浦~」
仁左衛門さんが一世一代で演じる渡海屋銀平実は新中納言知盛です。

ものすごい拍手でした!もう待ってましたという感じが劇場中に広がりました。でもお客からの圧を撥ね返すような仁左衛門さんの気迫もすごい。何だか出で圧倒されました。

銀平の恰好良さ、大きさ。年齢ではないけれど、やはり77歳というのは信じられないです。超越してる。神がかっているのか、知盛の力か。。

血だらけの知盛が甦ったようでした。以前に拝見した時とはお顔が違って見えて、浮世絵を観たせいか、絵が抜き出てきたようで怖かったです。あくまでも私の感覚ですが、今回はものすごく恨みが印象的で、「生き替わり、死に替わり、恨み~」のところは前段部分からゾクッとするほど怖くて、あの温厚な笑顔の仁左衛門さんを思うとまるっきり別人で感動でした。

安徳帝の言葉を聞き、鎮まっていく様子に切なくなりました。安徳帝は小川大晴(ひろはる)くん。梅枝さんのお子さんです。6歳かな。とても立派でした。私が拝見した安徳帝の中で一番、言葉が優しく感じました。芝居心があって思いやりがあるお子さんなのだなぁと想像して未来が楽しみになりました。

大晴くんの祖父、時蔵さんが源義経役。凛々しくて品があり美しい。ラスト、お孫さんを抱いて花道を去る光景は見ていても嬉しかったです。

孝太郎さんの女房お柳実は典侍の局が素晴らしかったです!安徳帝を思う気持ちが私の心に響いて圧倒されました。孝太郎さんも一世一代か?みたいな気迫です。観てよかったです。

又五郎さんの相模五郎と隼人さんの入江丹蔵も魅せてくれ楽しかったです。前半の可笑しみのやり取りは、隼人さんがこんなにも自然に笑いを取っているのに驚きました。出番が少なくてもものすごいインパクトだったと思います。後半のお二人はかっこいいので、そのギャップもたまりませんでした。

知盛のラスト、碇の綱を自分に巻き付けてダイブする瞬間。わかっていても悲しくやるせなく、気持ちが移ってしまったのか悔しくなった。壮絶すぎて、入水後は心が戻ってこないというか。

安徳帝に未来を託して消えていくかのように見え、仁左衛門さんを重ねてしまった。仁左衛門さんは消えませんが!芝居に入り込みすぎて気分はもうそんな感じでした。

演じ納めを観ることができて感謝です。観ながら吉右衛門さんを思い出したりもしました。次の世代は誰が続いていくのだろう。終わりは始まり。それを楽しみにしています。

aya

「はしご」担担麺


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