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三谷さんと猿之助さん

歌舞伎座「壽初春大歌舞伎」はあと3日です。
濃厚接触者で休演だった役者さん方も全員揃い、このまま千穐楽まで上演が続くことを願っています。

さて、昨晩の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に猿之助さんが登場しました!謎の僧、文覚(もんがく)。近年、僧侶役は何度もあるのですが№1の汚れ役でした(笑)NHKから出ているビジュアルで一番好きな1枚がこちら。

オープニングに「市川猿之助」の文字を見て感動しました。「風林火山」で武田信玄、「龍馬伝」で坂本龍馬を斬る役どころで登場したのは全て「市川亀治郎」時代です。猿之助~!と泣けました(笑)

文覚についてのいろんな逸話はSNSで皆様が書いているので割愛しますが、3話目にして新しい風を吹かせたと思います。ビジュアルもその一つ。

そして、見た目が汚くても、瞬間瞬間が絵になるのが猿之助さん。それは彌十郎さん愛之助さんもそうです。歌舞伎役者はどんなシーンのどの瞬間も絵になる。TVでも私はそれを楽しんでいます。

猿之助さんの溢れる可笑しみ。もうこれは三谷幸喜さんの脚本ならではかと。メディアでは’怪演’とありましたが、真面目に演技しているだけですから!(笑)三谷さんは脚本を「当て書き」なさる方です。猿之助さんの可笑しみが大好きで、きっと、どう演じてくれるのかワクワクしていたに違いない、と妄想しています。

ドラマ公式Twitterで猿之助さんのコメントが発表になりました。「(三谷さんと)長いことやってるから、一緒に」というのが印象的でした。

私の覚書によると、三谷作品に初出演したのが2006年PARCO歌舞伎「決闘!高田馬場」猿之助さんだけでなく、幸四郎さん(当時 染五郎)、勘九郎さん(当時 勘太郎)が出演。三谷さんの初歌舞伎作品でした。

三谷さんは、この時に猿之助さんの「可笑しみ」に気づいちゃうわけです。真面目にやればやるほど可笑しい。けど、そこには哀愁というか、切なさも表裏一体でついてくることを。

また、2008年の映画「ザ・マジックアワー」では通りすがるだけのお役で登場(笑)これはかなりインパクトあって記憶にある方も多いはず。

TVでもお二人を見たことあるような。三谷さんの番組に猿之助さんがゲストだったり。また、四代目襲名の記念本にコメントしてくださったり。

2016年には歌舞伎ではない三谷作品「エノケソ一代記」で猿之助さんが主演。昭和の喜劇王エノケンの偽物エノケソという。。(笑)ここで初めて舞台で三谷さんとも共演を果たしました。三谷作品はアドリブがないという話ですが、二人のアドリブ合戦は面白かったです。

そして、満を持して2019年歌舞伎座で’三谷かぶき’「月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち」を上演。みなもと太郎さん原作の歴史漫画「風雲児たち」の大黒屋光太夫の物語を描いた作品です。

評判が評判を呼び、チケットは入手困難になりました。初めてロシア大陸に上陸した日本人が主人公。ロードムービー的で、歌舞伎座は海上にもなり、シベリアにもなり、犬ぞりやエカテリーナ女帝まで出てきた(笑)

光太夫は幸四郎さん、仲間を演じるのが猿之助さん愛之助さん、そして彌十郎さんでした。

猿之助さん演じる庄蔵の一人語りは圧巻でした。笑えるのに、だんだん泣けてくる。普段はぶっきらぼうで、憎まれ口ばかりだけど、本当はナイーブで優しいキャラ。三谷さんが描く世界の猿之助さんにまんまとしてやられました。

猿之助さんが三谷さんの思うことに応えようとしているのを感じたし、猿之助さんの世界が広がっていくのを見ているのが嬉しかった。お客の反応を見て、演じ方や語り方をどんどん進化させていくのもすごかったです。

アドリブも増えていきました。三谷さんは歌舞伎役者にだけはアドリブを許すのだそう。それは信頼からだと。これを聞いた時は嬉しかったです。私は、歌舞伎役者は性根を掴んで、型を学んで、そこができて変化させていく方々と考えています。三谷さんのやり方まで変えてしまう力があるのだと感動でした。

ちなみに’三谷かぶき’では猿之助さんは二役。もう一役がエカテリーナ女帝。見てください!この後ろ姿!

文覚と同一人物とは思えません!もうこの後ろ姿だけで惚れる。

三谷さん!美しい猿之助さんもお願いします。
また歌舞伎でもお待ちしています。

今度はいつ文覚は登場するのでしょう。
出ますよね(笑)!?

aya


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