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今年の猿之助さん Ⅲ

拝見した猿之助さんの舞台の振り返り。
いよいよラスト三か月間です。

9月末、銀座GAPの店先の大きな猿之助さんが話題になりました。
本当に手から何か光線が出ているような(笑)

10月は「天竺徳兵衛新噺」
これも三代猿之助四十八撰の一つ、お家芸です。本来なら’徳兵衛’が登場し、大蝦蟇が出てきたり、宙乗りで葛籠抜けがあったりします。もともと長丁場の物語でした。それを歌舞伎座の短い上演時間に合わせるため「小平次外伝」として、またもやほぼ新作を作ってしまいました。ちなみに徳兵衛は全く出てきません。

小平次の怪談話をピックアップして上演。猿之助さんは、小平次と、その女房おとわの二役を早替りで演じました。夫婦を一人で演じるのは猿之助さんくらいかもしれませんね(笑)

しかも、女房が夫を殺すという。。めちゃめちゃ恐ろしい悪婆。猿之助さんの凍るような冷たさの悪婆は最高に素敵。日本語がおかしい気もしますが(笑)気持ちいいくらい悪い女なのです。それがかっこよくもあり、色っぽくもある。

私は小平次とおとわの演じ分けが好きでした。性格が真逆ですし(笑)最後は小平次幽霊に、おとわが殺される。面白いのだけど、個人的には幸福感ある物語がいいなーと思っていました。

11月は「花競忠臣顔見勢」
三代猿之助四十八撰の'二十四時忠臣蔵'の改訂版。赤穂浪士の討ち入りまでの4日間をグッと凝縮した新作。猿之助さん幸四郎さんのアイデア満載で、お二人が脇にまわり花形たちを全面に出した作品になりました。

にしては幸四郎さんの出番が多かった(笑)討入りの泉水の立廻りが私の一番のツボ。普段、忠臣蔵がかかれば、この場面には登場しないであろう幸四郎さんが唯一の高家側として大勢の赤穂浪士たちと戦ってる!初日はあまりの長丁場と、楽しそうな幸四郎さんについ笑ってしまいました。

猿之助さんは三役。高師直は予想以上にハマっていて、きっと中車さんが同じ化粧をするとそっくりなんだろうな。。と妄想も楽しい。ちなみに、猿之助さんは塩冶判官もいけると思うのですよ。私は切腹するシーンが観てみたい。さぞ美しいだろうと。

戸田の局は一歩引いた立ち居振る舞いが美しく、時代味があり素敵でした。強くて優しいのもいい。

河雲松柳亭の飄々とした感じは猿之助さんならでは。’配信’という言葉は、忠臣蔵と現代を結び、未来まで繋がっていくよう。そして幸四郎さん渾身の「必ず明日は日本晴れ!」は希望に満ちていました。

ラストを明るく締めてくれる二人に感謝の気持ちでいっぱいでした。

12月「新版 伊達の十役」への想いはたくさんnoteに書かせていただきました。新版とはいえ、伊達十を猿之助さんでいつか観たい!という夢が叶ったひと月でした。いつか全編が観たいし、伽羅先代萩の政岡も全編で観てみたい。

きっと未来に繋がる公演だったと思います。猿之助さんは、立役、女方、両方を兼ねる役者だと世に知らしめたように感じます。これを機に、お芝居でも舞踊でも女方の大役をしてほしい。楽しみが広がりました。

一年通して、こんなに猿之助さんを観たのは久しぶりかもしれません。歌舞伎座にこんなに通ったのも。旅行へも行かず、夜も観劇以外は出歩かず。。。こんな生活ができたのも歌舞伎座に行くことができたからです。心強くなれました。有難うございました。

来年も一つでも多く生の芝居を観に行きたいです。

aya

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