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市川猿之助 藤間勘十郎 春秋座 花形舞踊公演の旅 Ⅰ

京都に一泊で行ってきました。

2年ぶりの京都。2年前は、3月京都南座の「新版オグリ」中止が悔しくて観光だけの旅をしました。観劇遠征はその直前2月の同公演の博多座以来です。

京都芸術劇場 春秋座は、京都芸術大学内にあり、猿之助さんが芸術監督をしている劇場です。花道を作ると座席数は一階二階合わせて730ほど。一階席は国立小劇場と同じくらいでしょうか。

初日は京都駅に着いたら劇場に直行。いろいろと手違いがあり遅刻し、二つ目の演目から拝見しました。

建物を見上げ、少し感慨にふけりました。来ることができたのだなぁ。2年前は「次」が見えなかった。胸がいっぱいになりながら劇場入口に行くと、思い出がよみがえりテンション上がりました。感染症対策もきっちりなされ、スタッフの皆様の努力に頭が下がる思いでした。

「猿翁十種の内 小鍛冶」
昨年4月歌舞伎座に猿之助さん中車さんが躍った澤瀉屋のお家芸です。今回、播磨屋の歌昇さん種之助さん兄弟が踊るということで楽しみでした。稲荷明神の振りはとても激しくエキサイティングで澤瀉屋らしい派手な踊りです。本来の拵えは頭に狐の飾り、歯は金歯(笑)ビジュアルからして派手派手なのです。

4月に初めて拝見し大好きになった演目です。それを素踊りで若手が踊るとどうなるのか。。踊りに定評あるお二人に興味津々です。

刀匠の三條小鍛冶宗近を種之助さん
童子 実は 稲荷明神を歌昇さん
勅使 橘道成を壱太郎さん

~天皇の命を受けて刀を作ることになった宗近は、相槌を打ってくれる相手がおらず困っていました。稲荷明神に祈ると、稲荷明神が童子となって現れ、二人で名刀「小狐丸」を完成させます~

種之助さんの刀匠としての風格、存在感。明神とは違った神聖な空気を纏いとても威厳がありました。登場は、はっとした。この方、女方もするのですよね?とその巧みさにびっくりしました。

歌昇さんの稲荷明神が迫力満点ですごかった!この興奮は猿之助さんでしか味わえないと思っていたのに(笑)悔しいくらい魅せられてしまいました。前半は童子、後半は明神の踊りになります。

注目していた後半の明神の出が最高でした。お囃子に乗り、とてもスピード感あり足拍子も激しい。これこれ(笑)’動’の踊りから入り、胡弓の調べで’静’の踊りになる。緩急ついた振りを息を乱さず物凄い集中力。跳ねる高さのすごいこと!

狐の振りもよかった。そして猿之助さんとは違った神々しさ。猿之助さんは重さを感じない’空’を想像するけど、歌昇さんは逆にどっしりと’地’が想像できる。決して動きが重いわけではなくてキャラの違い。

刀鍛冶の場面は、二人でリズミカルに交互に槌で打ちます。音楽と合っていないかな。。と感じましたが、中車さんも「ここはわけわからなくなりそうだった」と言ってましたから。

壱太郎さんは後半から登場し、その鍛冶場を見守ります。じっとしているのですが、その居住まいは美しく存在感が絶妙でした。

言葉は全て竹本が語ります。葵太夫がいらっしゃると歌舞伎座のよう。義太夫も若手にチャレンジさせていて、一体になって盛り上がっていました。これは舞踊公演か?と思うほど芝居を観たような満足感。翌日の進化が楽しみになりました。

小鍛冶だけでなく、澤瀉屋の踊りを若手でも観たくなりました。以前、尾上右近さんが「酔奴」を踊ったのを配信で観たけれど、かなり面白かったです。こういうエキサイティングな踊りを若いパワーで魅せてくれたら歌舞伎座も盛り上がると思う。

踊りの上手い下手はわからないけど、播磨屋のお二人は華があり、歌舞伎役者としての身体能力を余すところなく使って魅せてくれました。兄弟でなさる自主公演の「双蝶会」を見てみたいと思いました。

小鍛冶が好きすぎて話が長くなりました。。。
他の演目のこと、旅のこと、この後も続きます。

aya


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