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「新・三国志」前楽

久しぶりの日曜観劇です。
まだ客席が100%販売していないのに、すごい熱気でした。グループのお客が増えたから会話も増えたけど、大声で話している人はいません。歌舞伎座の案内さん方の姿勢は変わらず厳しい。最近は開幕前に’声’で注意喚起をしてくれるようになったので有難いです。

写真が入ったので筋書を購入。歌舞伎座は20日過ぎくらいに改めて当月の写真入りで販売があります。私はこれを待っていました。スーパー歌舞伎が歌舞伎座で初めてかかった記念。

読んでびっくり!浅野和之さんの扱いが歌舞伎役者の幹部並みではないですか!歌舞伎座のリスペクト感がハンパないです。嬉しい。そして巻頭に、脚本の横内さんや猿翁さん、猿之助さんのコメントも!完全保存版にしておきます。


お芝居はさらに進化していました。猿之助さんが作るスーパー歌舞伎の魅力の一つは、初日から千穐楽にかけての劇的な変化、進化だと思っています。

通常の歌舞伎でも初日~中日~千穐楽までの進化はあります。歌舞伎はお稽古三日と言われていますので、初日にいわゆる完成版ではなく、だんだん完成版になっていくのを見る楽しみが醍醐味の一つ。

でも猿之助さんの歌舞伎はその何倍もの変化進化を遂げる場合があります。ワンピース公演中、ルフィはどんどん見せ方が変わり猿之助さんのキャラが確立されていったし、場面がたくさんカットされました。再演を繰り返しブラッシュアップも楽しかった。

その過程は猿之助さんの頭の中をのぞいているような感覚で、私の妄想を軽く超えてくる手腕を体感するのが毎回の楽しみです。

「新・三国志」は、確実に進化しました。

最初の中車さん演じるもうひと役の羅昆中。初日の緊張感の中では講談師のように見えたのですが、今では力んだ感じがなく、無声映画に声をつける活動弁士のようで面白くなっていました。何回観ても楽しい。

本役の張飛も荒々しさにコミカルなセンスが光って、登場して何かするだけでお客がザワつく(笑)見た目がどっしりしているのに、ソワソワしたりチョロチョロしたり。関羽の弟分キャラ全開で、上を見過ぎて、下の者たちが見えないのが納得でした。

笑也さんの劉備は、玉蘭として女性になれる瞬間が可愛らしくてキュンとしました。劉備としての顔、玉蘭としての顔。気持ちから自然に切り替わる感じが好きです。関羽に手を握られた時の表情がいいですよねー。こちらまで幸せになります。

劉備の見た目がさらに支えてあげたい感じになったのは、猿之助関羽と中車張飛がより大きく見えるようになったからでしょうか。三人の関係がよりドラマティックになっていました。

青虎さんの諸葛孔明で好きな場面が、初めて劉備を目の当たりにして悟るところ。セリフはないけど孔明の心の動きがわかる。劉備の軍師を断っていたのに、心が動いてひざまずいた瞬間、私の心が「わーっ」となるのです。

笑いがない。。じゃなくて笑わない猿弥さん。何だかしびれます。でも、厳しいだけではなく、中車さんとの場面では可笑し味があって安心します(笑)

笑三郎さんがますますかっこよくなっていました。司馬懿の信念の強さが現れているのかと。異質な空気感はすごいです。

寿猿さんのお医者さん。初日は殺されて倒れる時に大丈夫か?と思ってしまったけど、やはりさすがですね。技があるのだろうな。浅野さんとのシーンは嬉しいです。

段之さん、喜猿さん、猿三郎さん、猿四郎さんはセリフも多くてとても目立ってます。猿四郎さんは唯一の立廻りを任され、初日は泣きました(笑)猿之助さんの愛を感じる。書ききれないけど、一門の皆様が大活躍で嬉しい。

で、単独のセリフが無い皆様全員の個性が出てきていてスーパー歌舞伎だなぁと思いました!演技が細かくなってた!初めて気づいたのですが、好きな人を告白するシーンで、関平と好きな人がかぶってる人がいて後ろで泣いてる人が(笑)こういうのってオグリとかワンピースで日が経つにつれて増えていったことだから何だか胸がいっぱいになりました。

浅野和之さんのおふざけ無しの真っ向勝負、曹操(これはインタビューでご本人が言ってます)。黄色のマント姿が、どのスーパー歌舞伎のお衣装より好きかも。本当に頭が痛そうで、こちらまで痛い(笑)最初の登場は、劉備が自信をなくすのが納得の威厳でした。猿之助関羽との心の繋がり、信頼がたまらなくグッときます。

石橋正次さんは蜀軍の四天王の一人。白髪で古老。こういう人を側に置いているのが猿之助さん自身とも重なりしっくりきます。まわりとはひと味違う空気感で和ませホッとする存在でいい。

香溪の右近くん。花道の出から心が掴まれます。気が強く、美しく、品があって。張飛との立廻りがますます素敵になっていました。劉備に共鳴して、そして世界が広がり、女性として輝いていくのが素晴らしいです。

鳥肌が立ったのが福之助くん!一番の成長株だと思います。香溪が命をかけて心を伝える場面。青い炎が立ち昇るようなオーラでした。決して言葉を謳い上げないで、声量と気持ちで迫力を増して、間を気持ちでしっかり繋いでた。それが音楽ともピタリと合い、音の盛り上がりと同時に手を広げた瞬間はゾワっとしました。初日より声が出てるのがすごい(笑)ワンピースで隼人さんがみるみる進化したのを思い出します。すばらしい!

そして、團子くん。思い切りよくて、気持ちいいくらい、周りにぶつかっていく感じ。猿之助さんを見る目がまっすぐで眩しい。猿之助さんは、あの目をどう思って受け止めているのだろうか。團子くんが言っていたけど、古典ができてからのスーパー歌舞伎のセリフ。初日から周りの歌舞伎役者としゃべりが違うのはやはりそこなのですね。ここから成長を観ていく楽しみをくれて有難う。

猿之助さんがますます関羽に重なって見えました。今日は、一段と言葉で、心で、お客に語りかけていたように思う。

チーム感が出てきてブラッシュアップされ、新鮮に観ることができ楽しかったです。

明日は千穐楽。とうとうここまで来ました。しっかり目に焼き付けてこようと思います。猿之助さんの感想はその後で。

長文になりました。読んでいただき有難うございます。
まずは役者さんに感謝をこめて。

歌舞伎座で期間限定で販売している「出町ふたば」の豆餅。東京で食べることができる幸せ。美味しくいただきました。

aya


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