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本番あるある ― 手指が冷えて思うように動かない

寒中お見舞い申し上げます。

手が冷えてすぐには弾けない ― という季節の到来ですね。

ところで。

今の季節に限らず、「本番、手が冷えて思うように弾けない」と訴える演奏家の方、案外多いようです。

多くのアーティストさんを見て来られた調律師さんも、先般「≪手が冷えて動かない!≫と、直前カイロをせわしなく揉んでみたりする人も本当に多いですよ」という話をされていました。

人によっては「カイロを持ち込み、手袋をして本番を待っていたのに、弾き始めたら冷えてきて困る」ということもあるようです。

カイロも手袋も、手を温めますから、もちろん効果がないわけではないのですが、問題は、カイロと手袋を持ち合わせないときですね。あるいは持ってくるのを忘れたとか、そういうことがあったりすると、益々不安な気持ちが膨れ上がってしまうおそれがあります。

でも、カイロや手袋を忘れても、実は数分もあれば、手指を温めることは可能です。それも、身体の内側から。

そもそも、緊張状態になると手が冷えるのは、末端の血の巡りが悪くなるからですね。ノルアドレナリンが分泌され、交感神経優位になっているために、末梢の血管が収縮していることが冷えの原因。

ということは、自律神経のバランスを整えるトレーニングを行えばいいわけです。

ご存知の方も多いと思いますが、こういうときに威力を発揮するのが、自律訓練法の第2公式(温感訓練)。ドイツの精神科医シュルツによって1930年代のはじめに考案された、既に長い臨床実績のある訓練法です。

厚生労働省の「e-ヘルスネット」でも紹介されていますね。

分かりやすいページはこちら。

ただ、自律訓練法は、自己暗示によって軽い催眠状態になりますから、いわゆる消去動作等をきちんと行う必要があります。

かつ、本番前に、リラックスしすぎるのも、パフォーマンスをかえって低下させる可能性があるため、そのあたりのバランスをよく考える必要があります。

ところで、自律訓練法とよく似たものとして、マインドフルネス瞑想がありますね。この瞑想を行うことでも、自律訓練法の第2公式と同様、温感を得られるようになります。

私自身は、マインドフルネス瞑想の手法を取り入れつつ、無理なく消去動作とウォーミングアップができるようなオリジナルメニューを作っています。受動的注意集中によってある程度リラックスした状態を獲得した後、最終的には本番に向けて気持ちを前向きに持って行くようにしているのです。メニュー運びの速度や、メニューの組合せ、そしてその順番も含めて、より実用的なものになるように、いろいろな工夫を盛り込んであります。

ちなみに、私自身は、屋外から戻ってすぐに弾かなければならないときも、このメニューを実施しています。カイロがなくても、手指はすぐに温かくなります。

もし、ご興味がおありの方は、よろしければお試しくださいませ。

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