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夢の旅路

久しぶりに会った友人と
偶然にも隣り合わせになった
海外への長いフライト
旧交を温めるのに
うってつけだった

彼は国際間取引に携わる
忙しいビジネスマンだった
やつれた顔色と目の下のくまが
その激務の証だった
私は心配になった

互いの近況や仕事の話をした後
昔話に花が咲いた
難関大学の受験だった
今でも夢に見ることがあると言った
答案は真っ白で時間は迫る
ハッと目が覚めると言った

彼は夢の話を切り出した
『落ちる』夢だという
夢から覚めた夢からも
また落ちて目覚めるという
夢と現実の区別がつかなくなっているという

私は励ました
疲れているんじゃないかと言った

ガクンと揺れた
アナウンスは、緊急着陸する見込みだという
周囲は騒然とする中で
彼は呟いた
これもまた、夢だったのか、と

私は思った
これが本当に夢だったら良かったのに



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