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ランダムワード「万国博覧会、鍵、パトロール」から自由詩創作


万国博覧会の夜は
色とりどりの光に満ちている
世界中の文化と技術が
華やかに競い合う

私はパトロールの仕事をしている
人混みの中を歩き回り
トラブルや事故がないように
目を光らせている

ある夜、私はふと立ち止まった
一つだけ暗いブースがあったからだ
扉には鍵がかかっていて
中に何があるのかわからなかった

私は好奇心に負けて
鍵穴に耳を当ててみた
すると、中から聞こえてきたのは
美しい歌声だった

私は毎晩、そのブースに通った
鍵を開ける方法を探した
しかし、どうしても見つからなかった
歌声だけが聞こえてきた

私はだんだん想像した
中には誰かが閉じ込められているのだろう
彼女は歌うことで自分を慰めているのだろう
彼女は私に助けを求めているのだろう

私は決心した
今夜こそ彼女を救い出すと
私は鍵穴にナイフを差し込んだ
すると、扉が開いた

私は呆然とした
ラジオが置いてあるだけだった
それは、万国博覧会のテーマソングだった
私は笑ってしまった

私は気づいた
私は彼女を想いすぎていた
彼女は存在しなかった
自分で作り上げていた

私は扉を閉めた
私はパトロールに戻った
その代わり
万国博覧会の夜はまだ終わらない

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