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№2.卒業生の声 坂本穂香さん

多様なバックグラウンドをもつ本コース卒業生へのインタビュー
 第2回は、大学卒業後、新卒で本コースへ入学した坂本さん。
 現在は、原宿リハビリテーション病院の言語聴覚士として、活躍されており、臨床実習の指導者として本コースに関わってくださっています。


PROFILE

専攻科(言語聴覚士養成課程)2016年卒業(1期生)
東京女子大学 現代教養学部 人間科学科 言語科学専攻卒業後、本学へ入学
原宿リハビリテーション病院勤務

●現在の仕事内容について

 現在、回復期リハビリテーション病院で働いています。対象は脳神経外科疾患の⽅と廃⽤症候群の⽅で、摂⾷嚥下障害、失語・⾼次脳機能障害、構⾳障害、認知症などの患者様に対してリハビリテーションを⾏っています。また、少数ですが外来を利用される方もいらっしゃるので、外来の担当も行っています。そのほかには委員会に参加したり、⼊職⼀年⽬の⾔語聴覚⼠(以下︓ST)の教育をしています。
 当院は嚥下内視鏡検査(以下:VE)と嚥下造影検査(以下:VF)の機械があり、週に1~2回検査をすることが可能ですので、食事開始時期やカニューレの抜管等を検討する際に積極的に検査を実施しています。実施件数は昨年度でVE150件、VF180件ほどです。摂⾷嚥下センターも⽴ち上げておりますので、専⾨医師・⻭科医師・看護師・栄養士・歯科衛生士・リハビリの多職種間で連携をとっています。

●言語聴覚士を目指したきっかけ

 ⼤学三年⽣ぐらいで就職活動を考えた時に、今専攻している学科に関係のある仕事ができないかと思い、ゼミの先⽣に、”この学科で学んだことが、活かせるような仕事がしたいんですよね”っていうお話をしまして。そうしたら、来年度⼩嶋先⽣が客員講師として大学に来てくれるから授業を受けてみたら?と勧めていただいて。それまではSTについて全然知らなかったんですが、食べることやコミュニケーションを取ることが難しくなってしまった方のサポートができる仕事って素敵だなと思いましたし、実際に⼩嶋先⽣の授業を受けさせていただいて、授業はすごく難しかったんですけど、さらに言語聴覚士という仕事に興味を持ちました。

-武蔵野大学を選んだのは?
 ゼミの先⽣や⼩嶋先⽣もいらっしゃるということで、選びました。大学時代に小嶋先生の授業を受けることができて本当に良い機会をいただけたと思います。

●学生時代の学びについて

 ⼀期⽣だったので、本当に何もわからないというか、そういう思いでスタートしたように感じます。年代は結構バラバラで同年代から年上の方までいてすごく賑やかなクラスだったと思います(笑)テスト対策や検査練習とか、国試対策もみんなで情報を持ち寄って共有できたなと思いますし、みんなで頑張っていこうという雰囲気がありましたね。

-印象に残っていることや思い出はありますか?
 柴⽥貞雄先⽣の授業は、当時は本当に難しくてなかなか理解するのが大変だったんですけど、今になってみるとSTの仕事をする上で、すごく重要な内容だったのもわかりますし、その授業を受けることができて本当によかったなって思っています。
 それから、検査練習を結構やらせてもらえたと思います。学⽣同⼠で練習もできたから、実習でもなんとか形にはなったのかな︖と思います。今の職場ではあまり検査練習ができないまま、就職した後輩や実習に来る学⽣さんが多いので。プリントをもらって説明を受けて終わりだったという話も聞くので、実際に検査道具がしっかりそろっていて、いつでも練習できる機会があったのは有難かったですね。
 また、先⽣方の臨床をガラス越しに⾒学させていただいたことは印象に残っています。確か失語症の方と小児のリハビリを見せていただと思います。その頃まだ失語症に対するイメージがあまりなかったので、こういう症状が出るんだとか、こういう話しかけをして患者さんの発話を促しているんだとそこでやっと知れたというか。かなり衝撃を受けました。

-実習はいかがでしたか?
 日々の課題や患者様とのコミュニケーションなどすごく悩みましたし大変なことはいっぱいありましたけど、楽しかったですね本当に。毎日新しい発見ばかりでした。実際に臨床に出ている先生方からたくさんのことを教えていただきました。

-実習の学びは今に活きていますか?
 そうですね。それこそバイザーの先生が実施していた訓練内容などは今でも覚えています。先⽣がされていたことをその時は本当に真似することしかできなかったですけど、今はこういう⽬的でやっているということを学生に伝える立場になりました。

-国家試験の勉強はいかがでしたか︖
 
私は国試に向けた勉強は実習が終わってから取り組み始めました。それまでは全然⼿つかずという感じで。教室を開放してくださっていたじゃないですか。それが有難かったですね。夜遅くまで、本当に朝の9時から夜の9時ぐらいまでずっと私は(教室に)いたので。教室で、みんながいるからできたっていうのはありますね。⼀⼈じゃできなかったなって思うので、一緒に頑張れる仲間がいたからできたのだと思います。社会⼈経験のある⽅たちの勉強量がすごすぎて、新卒組はもっと勉強しなきゃといつも思っていました。

●言語聴覚士の仕事の魅力はどんなところですか。

 失語症などでコミュニケーションが全然取れないという⽅が、退院するときに何らかの手段を通して少しでもご家族とやり取りができるようになっているのを見たり、嚥下障害により経管栄養や胃ろうになっていた患者様が口から食べられるようになって御本人やご家族が喜んでいる姿を見たときはとても嬉しいです。少しはお手伝いができたのかな?って。そういう日々の回復過程を間近で⾒ることができるのは魅力だなと思いますし、この仕事を選んで良かったなと思っています。

●後輩へのメッセージ

-言語聴覚士を目指している方々にメッセージをお願いします。
 実習も国家試験もあってなかなか忙しい⼆年間だと思いますが、そこを乗り越えた先に、患者さんと⼀緒に過ごすかけがえのない時間が待っていると思います。学生の間にしかできないこともたくさんあると思いますので、ほどよく息抜きをしながら学生生活を楽しんでくださいね。

原宿リハビリテーション病院の先生方(写真中央が坂本さん)