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クラフトミルクスタンド前の自販機で牛乳を売っているわけ

自販機で牛乳を販売することは、店主の夢でした。
今となってはなんてことない事ですが、40年前だととても難しいことでした。

40年前は、おうちに毎日届ける牛乳配達が主流でした。

店主が子どもの頃は、大きな容器に入った大量の牛乳がトラックで運びこまれ、
その牛乳を自分たちで瓶詰めして販売していたそうです。

衛生上の問題もあり、次第に乳業メーカーが瓶詰めした牛乳を販売するようになったと言います。
その配達も激減し、今ではスーパーで買われる方がほとんどかと思います。

店主が家業の牛乳屋に入った時はまだまだ配達中心でした。
しかし、大好きな牛乳をもっと多くの人に販売したい、そう思って、
当時は珍しかった自販機で牛乳を販売したいと強く思うようになりました。乳業メーカー、自販機メーカー、店主の3者で協力して販売し始めました。

しかし、 当時の自販機は性能が良くなかったため牛乳の販売は失敗続きでした。温度管理がうまくいかなかったり、ビンが割れてしまったり、商品がつまったり。さまざまなトラブルがあったと言います。

自販機の補充をして回る店主

そんな中、ジュースやお茶などの清涼飲料水の需要が高まり、牛乳の売上はどんどん減っていたため、牛乳の販売だけでは立ち行かなくなりました。そこで、清涼飲料水の販売の方に徐々にシフトしていきました。
それでも、牛乳が大好きだったため、わずかですが、温泉施設の自販機などでの販売は続けていました。

月日が流れ、ミルクスタンドをオープンするにあたって店主は自販機の仕事を一旦やめました。ただし、ミルクスタンド前の自販機はどうしようか悩んでいました。

お店の横には自販機があり牛乳を販売しています。


そんな最中、「菊地ファーム」の菊地さんが自販機で牛乳を売りたいと言ってくれました。
最後に残った自販機で再び牛乳を販売することになりました。しかも、念願の牧場の牛乳です。

菊地ファームの牛乳。牛乳が売っていることに驚く方が結構います。


店主は昔全国をバイクで旅して牧場の牛乳を飲み回っていました。
そこで飲んだ牧場のおいしい牛乳を自販機で販売したいと思っていました。

思い描いていた牧場のおいしい牛乳を自販機でも販売できるようになったのです。

現在は、
菊地ファームの牛乳、
週がわりのクラフトミルク、
ペット用のヤギミルク、
を扱っています。

物珍しさもあって、ありがたいことに多くの方に買っていただき、売り切れになることが多いです。

今のところ牛乳は自販機の一部だけですが、
ゆくゆくはチーズや飲むヨーグルトなど、自販機の中を乳製品でいっぱいにしたいと店主は鼻息荒く語ります。

ジュースやお茶なども売られるいびつな自販機ですが、
78歳の店主の夢が少し叶っている自販機です。


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