2021.11.25 Berlin,Germany

近所のスーパまでおつかいに行った時、入口で止まってた車椅子のおじさんに、「ちょっと買い物したいから中へ押してくれないか」と声をかけられて、僕は彼の車椅子を押して一緒に中へ入った。

おじさんは僕が日本人だとわかると、「昔、沖縄に行ったことがあるんだ！」と、沖縄で琉球空手を教わった時の話を聞かせてくれた。
安いお酒を一瓶買ってから外へ出ると、もしあと5分くらいあるなら隣のスーパーにも連れてってくれないか、と言うので、今度はインドネシアに行った時の話を聞きながら隣のスーパーの中を車椅子を押して歩いた。

すると一人の若い店員さんがやってきて、おじさんと何か話してる。

その後、店員さんは僕の方を見て、「この人のことを助けてくれてありがとう、でも彼は1日に何度も他の人とやって来て、毎回色々盗んで行くんだ。20分前にも他の人に押してもらって来てたんだよ。」と、彼の抱えてる大きな買い物袋を指差してる。

あなたは本当に親切で素晴らしいと思うけど、ここに入店するサポートはやめてもらえると助かる、と申し訳なさそうに話してくれる店員さんと、それを黙って聞いてたおじさんは一言、「外に出よう」と言って車椅子を進める。

外へ出たおじさんは、「彼は間違ってる、俺は何も盗んでねえ。」と、後ろから車椅子を押してる僕の目をバチっと見ながら言ったあと、また何事もなかったかのように沖縄の人達がどれだけ親切だったかったかって話を聞きながら、近くのバス停まで送って、僕らはハグして別れた。

家に帰りながら、おじさんの沖縄の話をしてた時の興奮した様子の声や、申し訳なさそうに、ありがとう。と言ってた店員さん、そしてスーパーから出よう。と静かに言ってたおじさんの顔を思い出してた。

家の側まで来た頃、すっかり忘れかけてたおつかいのことを思い出して、急いでスーパーに戻ったのだった。

シベリアの生んだ小さなきゅうりこと、ビエラの新作カレンダー出来ました。