見出し画像

砂漠の思考実験

「無人島に、もし一つだけ持っていけるとしたら、何を持っていく?」

これまで何度か尋ねられた質問だけど、いまだに確かな答えを持っていない。食料、予備のメガネ、火打ち石、ナイフ、etc.  忙しい都会の暮らしに未練はないし、キャンプは好きだけれど、いきなり無人島での生活を強いられるのが納得行かず、質問に対して真面目に答えたくない。

この質問は自分が生きていく上で何が必要なのか、最低限の物資を明らかにしてくれる一方で、あまりにも現実味がなく唐突な質問のため、なかなか深く考えることができない。

丁寧な暮らし・シンプルライフがもてはやされ、私も、物に溢れた生活はいつか見直されるべきだと思っていたりする。それでも私のアマゾンの欲しいものリストは肥大し続け、用もないのに本屋をぶらぶらして、気付いたら家の中は物で溢れている。言ってることとやってることが矛盾している。

それは多分、買い物をしている時は、ものを増やしたくないという思考がどこかへ吹き飛んでしまっているからだと思う。アマゾンで買い物カゴに商品を入れてレジに進む前に、冷静な思考を取り戻せたなら。そのために今回提案するのが、砂漠の思考実験なのです。

無人島の思考実験では、島に移動する時に一つだけ物を持っていける。砂漠の思考実験では、あなたは目を覚ますともうすでに、闇夜の砂漠の中でひとりぼっち。手探りであたりを確認するとライトが1つ。幸運にもまだ使えるライトを握りしめ、今から周囲を探検し始めようとしているところから、思考実験が始まる。

今まで欲しいと思っていた商品を闇夜の砂漠の中で見てみることで、これまでにない違和感を感じることができるのではないか。その違和感こそ、現在のモノに溢れた社会が作り上げ、私たちを洗脳しているものの正体なのではないか。その違和感をより明確に、視覚的にとらえるために、以下の画像を制作した。

私の欲しいものリストの商品を砂漠に配置することで、これまで隠されてきた商品や消費社会の新たな側面を垣間見ることができる。

結論から言うと、水くらいしか買えなくなってしまう。アマゾンの欲しい物リストに入ってる商品って「大体イラネ」ということを痛感した。

それでも私は、明日もモノに囲まれた部屋のベッドで目を覚ます。

頭の中に闇夜の砂漠を忍ばせながら、溢れたモノとの距離を測って、これからも生きていく。

この記事が参加している募集

#習慣にしていること

131,037件