『君たちはどういきるか』視聴後の考察メモ(ネタバレ含みます)

※あくまでメモです『君たちはどう生きるか』の重大なネタバレを含みますので注意してください。めちゃくちゃ個人的考察でこじつけみたいなものもあります…後、記憶違いもあるかも…


①序盤の火事のシーンでのモブがやたら人間っぽい見た目で人間っぽい動きをする
 スタジオ4℃の『キッズ・ストーリー』などのセルフオマージュ?(スタジオ4℃が作画協力にいるので)

②戦中の描写
 『風立ちぬ』『火垂るの墓』っぽさがある。戦闘機のコックピットを覆うガラスを乾かす描写もある。ミリタリー描写がしたかったのだろう。

③アオサギ
『不思議の国のアリス』のチシャ猫がオマージュ元?後、ねずみ男っぽさもある。見た目はアオサギに飲み込まれた鼻のでかいおじさんである。
ちなみに私が公開前に予想して描いた図がある。

諸星大二郎の『アダムの肋骨』をイメージしてトンチキな感じで描いたのだが、全然違った。なんなら公式の方がよっぽどトンチキである。

④異次元の世界(これは自分が言っているだけ)
 ほとんどの人間が死んでいる世界。『死者の世界』ともいえるのか。そういや、『風立ちぬ』でも死後の世界はあった。『脳外科医竹田くん』でパロられていたベックリンの『死者の島』の木々の前に古墳(諸星大二郎作品でよく出てくる)がある島がある。どの島にも『死者の島』の木々があるっぽい?
 異次元の世界に行くとき地下に潜りこむ描写があったことから『MUDMEN』におけるデマの王国に近い部分もある。(デマ自体は謎の生物だが。)そういやデマの王国にも海が広がっていた。

ベックリンの『死者の島』この後ろの木々が作中に登場する

⑤異次元世界の入り口(ドア)
 ドアを開けることで時代や空間を行き来できる。諸星大二郎の作品群がオマージュ元?諸星先生の世界では空間や時間を行き来することはよくあることなので(『MUDMEN』、『孔子暗黒伝』、『暗黒神話』などなど)。ドアにしたのは「新海誠、あんた期待してるで」っていう意図があるのか!?どうなんだろう。
 調べたらマグリットの絵画でドアの向こう側にこちら側と違う別世界が広がっているっていう作品が結構あるらしくそれが元ネタの恐れもある。

⑥天国(と呼ばれていたところ)に行く入口(台形)
 『暗黒神話』の現実世界と別の世界で出てくるたくさんの台形がモデルであるのだろう。おそらく…じゃないとわざわざ台形にしない…

⑦天国(と呼ばれていたところ)
 『カリオストロの城』の庭に出てくるものと近い建造物もあった。森の描写は『不思議の国のアリス』に近い。異次元世界の鳥とは違う鳥がいるので、大叔父が作った理想郷なのかもしれない。

⑧大叔父
 モデルは宮崎駿自身であろう。じゃないと、あんなロリッ子(ヒミ)を抱擁するシーンなど描かないだろう。疲れ果てており、世界を作り出し均衡を保つ後継者を探している。

⑨大叔父の上に浮かんでいる石
 アイデアの塊のことであれは宮崎駿が作った作品群の暗喩であるはず。
 これはおそらくマグリットの絵画がモデル。
 著作権的にここに載せれないので、あれだが『ピレネーの城』がモデルと考えられる。
『ピレネーの城』はピレネーの墓でもある。
『ピレネーの城』は空を飛ぶか、空想能力でしか城に入ることはできないとマグリット自身が言っていたらしい。
 想像力が入口を作り出す。あの石が想像力の化身であったとすればふさわしい石だろう。あの世界で人間は基本死人なのに対して鳥はまだ生きているっぽい形で出てくるのも納得だ。

⑩積み木
 アイデアを積み重ねて世界を作り上げていくということだと思われる。どんな作者も衰えていき、若いころに比べると世界を作り出す力が弱まっていく。そして今まで積み重ねてきたものの均衡が崩れ崩壊する。
 積み木が墓石みたいなのはおそらく、年老いてアイデアが枯渇してきて柔軟性のない凝り固まったアイデアしか浮かばないことの暗喩だと考えらえる。
 最後、主人公が『異次元の世界』から積み木の一部を持ち帰っていたが、あれは宮崎駿の完璧な後継者はいないけど、意志を受け継ぐものは必ずいるという比喩だと思われる。なんなら予告に流れたポノックの新作はもはやジブリの新作みたいだった。

⑪大叔父の上に浮かんでいる大きな石の下にある石
 あれは没になった作品もしくはアイデアだと思う。宮崎駿版『リトルニモ』とか宮崎駿版『ゲド戦記』とか『長靴下のピッピ』とか…

⑫世界の崩壊
 主人公が大叔父の後継者を断ったことで世界は崩壊する。つまり、本当の宮崎駿の後継者は今はいないってことを表しているのかもしれない…ちなみに、崩壊する前のシーンは漫画版『風の谷のナウシカ』のナウシカが終盤で世界の崩壊を選択するシーンのセルフオマージュだ。

⑬世界の崩壊の描写
 諸星大二郎の『生物都市』に近い歪んだ世界になっていく。
 生物の集団が四角い穴から出てくるのは諸星大二郎の『妖怪ハンター』の生命の木に近いかも?(こじつけだが)

⑭なんで弓矢が武器なのか
 弓矢が武器なのは、『MUDMEN』の主人公コドワが使っている武器が弓なのでそこあたりが関係している気がせんでもない。(そもそも諸星大二郎の漫画での弓登場率は高い)ただ、鳥を仕留めるといったら銃じゃなければ弓しかないだろう。そもそも子供だし。

⑮ヒミ
 ロリッ子である。
 ロリッ子であるが主人公の母なのだ。
 ヒミの能力はよくわからない…
 体を火にしたり、空間移動ができる。ファンタスティックフォーみたいである。
 火の神略して「ヒミ」なのか?
 卑弥呼の「ヒミ」なのか?
 よくわからない。ただ主人公の母親なのは確かだ。
 ヒミは『異次元の世界』で火の能力者として活躍した経験があり、そこで主人公と出会い、冒険したことで未来を受け入れた。
 そのため、母になってから火事の際に火に覆われていても、あまり苦しそうじゃなかったのだろう。死を受け入れられる準備ができていたのだから。
 ちなみに、ヒミの空間移動のシーンは諸星大二郎の『暗黒神話』の序盤の車で出雲大社に向かうシーンがモデルになってると考えられる。

⑯ヒミの溶けるシーン
 序盤に椅子に寝ているヒミ(偽物)が溶けるシーンがあるが…
 あれは、諸星大二郎の『暗黒神話』や『孔子暗黒伝』で出てくるキャラクターが溶けるシーンのオマージュだ。あの庵野秀明も対談で『暗黒神話』の溶けるシーンを参考にしたと言っている。

⑰夏子
 主人公の実の母親の妹で今は主人公の母親(ややこしい)。
 妊婦である。
 現実世界が戦中で産むのが怖いのか、主人公がけがをしたことや死んだ姉の夫の子供を産むという自身の行動を悔やんで引きこもりたくなったのか『異次元の世界』に閉じこもっている。
 『異次元の世界』ではベッドに伏して、かなり気が立っているような様子もある。マタニティーブルーというやつなのだろうか。
 『異次元の世界』にはおそらく、アオサギに誘われて行ったのだと思う。作中では向かっている描写しかないので。
 ベッドに伏して怒り心頭なときの夏子の顔は今敏監督の作品に近いので、おそらく井上俊之さんが作画した部分なんだと思う。
 ベッドの周りに式神がいるのは妊婦の彼女を守るためだろう。
 ベッドに伏した夏子は『となりのトトロ』の母親に近い恰好ではあるが妊婦であり、家が裕福ということもあり、見た目はそこまでやつれてない。

⑱集団 
 紙の集団、ヒキガエルの集団、ペリカンの集団、ワラワラの集団、魚の集団、死者の集団、インコの集団、この映画はいろいろな集団がよく出てくるがこれもなんかの比喩なのかもしれない。ちなみに諸星大二郎の『栞と紙魚子』でも集団はよく出てくるが関係ないだろう。

⑲ペリカン
 ペリカンはワラワラの天敵だ。
 ワラワラが卵になったとき、餌として食べる。
 ペリカンの元ネタはちょっとわからないが小ネタを述べる。
 オールマイティ・ラボというyoutuberがいるのだが、彼の動画でペリカンを題材にしたものがある。映画を観る前日に泊まっていたホテルで偶然彼のその動画を見てしまっていたがために、私は『君たちはどう生きるか』でペリカンが出てきた瞬間大笑いしてしまった。

⑳インコの家
 インコの集団がいる家に入ったくだりがあったが、あそこあたりは宮沢賢治の『注文の多い料理店』のパロディがあった。
 宮崎駿は宮沢賢治のファンでもある。

㉑ワラワラ
 ワラワラ君は本作品のゆるキャラとして登場する。
 『もののけ姫』のこだま、『となりのトトロ』のまっくろくろすけ枠である。多分グッズ化もするだろう。今のところグッズはアオサギだけだが…
 名前的に『栞と紙魚子』のムルムルがオマージュ元だと思ったのだが、顔は全く違う。ムルムルは羽が生えていて顔は人間的だが、ワラワラ君は白い球のような感じで『お化けのQ太郎』のO次郎に見た目は近い。ムルムルみたくワラワラとわいてくるからワラワラなんだと考えられる。詳しい説明があまりないので、繁殖方法はわからない。もしかしたら、ムルムルと同じように輪になって増えているのかもしれない。膨らんで飛んでたのでカービィっぽさもある。
 このワラワラだが、魂のようなものらしく輪廻転生をするみたいで、空に飛んで白い卵になっていた。ちなみに空に飛んでいたときの状態はヒキガエルの卵の形状に近い。ヒキガエルと言えば序盤にいっぱい出てくるシーンがあるのであれが輪廻転生した姿なのかもしれない。そういやあいつらもワラワラしとった。
 らせん状になっていてDNAの形になっている。

㉒やたら出てくる「フン」の描写
 主人公や夏子、主人公の父に鳥が「フン」をかけるシーンがやたら出てくる。この「フン」は何なのか?最後夏子は「フン」をかけられて笑っていた。
 この「フン」は「生きていること」を表しているのではないかと思う。生きていたら誰だって「排便」はする。生理現象だ。「フン」という「生きていること」の証(あかし)を浴びた夏子は「生きる力」をもらってマタニティーブルーを克服した彼女を示唆しているのかもしれない。だとしたらやばい演出だが。
 もしかしたら精液のメタファーなのかもしれない…

㉓水中での主人公
 主人公は夢の中で水中で逆さになるが、これはみんな大好き『暗黒神話』のオマージュである。『エヴァンゲリオン』でもやってた。

㉔過去作オマージュシーンは、1.館まで森のトンネルを登っていくシーン:「となりのトトロ」,2.裏の階段を男女2人で歩くシーン:「千と千尋の神隠し」には気づいたけど他は忘れてしまった…

㉕なんでやたら夜景が出てくるのか?
 諸星大二郎の『暗黒神話』の終盤に暗黒星雲という場所で、主人公の武が世界を支配するかどうかの選択を迫られる場面がある。本人はなりたくてなったわけではないと怒る。そんな話があるのだが、やたら大叔父の島のシーンで夜景が出てくるのはこのシーンのオマージュだろう。


 後気になったのは、ばあさんたちの木の人形だが…これも元ネタがありそうだ。他にも思い出したり気づいた点があったら書いていこうと思う…


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