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日本の大学卒業から海外大学院入学までの期間はどう過ごす?

生命科学系のPh.D.プログラムへの大学院留学、私の学生としての経験はもう20年以上前の話ですけど、今もあまり変わっていないと思いますので「これから応募する方」に向けて書いておきたいと思います。

米国の大学院(8月最終週~9月入学)のアクセプト通知は早い人で3月初め。それから、徐々に補欠の合格者に連絡が届いて、4月中旬までにオファーを受け入れるかの意思表示をしてください、というのが合格通知から各プログラムの入学者が決まるです。米国の生命科学系の良い大学院に「インタビュー無し」でオファーを出すところは無いと思いますので、2月中旬までに連絡の無かった人は「脈無し」ということになります。連絡が無い場合は、4月下旬以降に届くオフィシャルなReject通知を待たずに次の行動に移りましょう。

3月末に大学を卒業する学生にとって、大学院の合否が分からない時期、というのは不安ですよね。親も心配したりして…「アメリカでビッグになる!」みたいなことを言いつつ進学先も決まらないのでは、なんとなく気まずい。日本の採用習慣では履歴にギャップ(うまく説明できない期間)があると気にされる場合があり、大学卒業後に空き期間は作らないほうが良いと言われていたり。

そういう状況を考えると、大学院の合否に関わらず、「4月から○○の予定」というのは先に決めておくと自分もまわりも安心です。最初に書いておきますが、期待通りのタイミングで事が運ばない時もあります。困ったときにはひとりで悩まず留学経験がある・理解がありそうな大学の教員に相談しましょう!それでは、いくつか選択肢を紹介します。

1.海外インターンシップの行き先を探しておく

これは以前の記事「生命科学系の大学生が研究留学する3つの方法」でも書きましたが、大学院の行き先が見つかれば、夏までに終えれば良いですし、再挑戦となればそのまま研究経験を積むことで、翌年のエッセイや推薦状の内容がずっと良くなります。実は大学院のインタビューでも、「Ph.D.コースで行き先が無かったらどうするのか」というのは聞かれると思います。その時に、「翌年の再挑戦に向けてインターンをする」と答えられると、本気でコミットしていることや、先々まで良く考えて準備していることが伝わります。研究室ローテーションを先にやっておくような意味もあるので、全てが前向きに説明できて経験も積める、最もお薦めの選択肢、と思います。

でもこれには一つ注意点が。お給料をもらいながらのインターンシップでは、就労ビザを取得するのですが、大学院進学で必要になる学生ビザへの切り替えにいろいろルールがあり、受け入れ研究機関の担当者も詳しく知らないことがあります。ビザ免除の90日以内の米国滞在を短期間に繰り返すのも、その後のビザ申請にリスクがあります。早まって手続きをせず、良く調べてください。米国留学を目指すならばインターンシップは欧州など、ビザ申請が干渉しない国に行くのも良い策と思います。

2.日本の大学院に受験・入学しておき、留学が決まったら退学する

これは卒業研究の指導教官の理解がある場合に、特に有効な選択肢です。一方で、退路を断つことによって生まれる留学への決意が欠けてしまい、応募書類の説得力やインタビューでのパフォーマンスにも現れるかも。入学金や学費なども必要になりますが、一般的なレールに乗っている安心感があります。最初に海外経験を積みたい旨を指導教員に知らせておけば、そのうち共同研究者のところに大学院留学のチャンスが巡ってきたり、短期留学できたりする機会もあるかもしれません。教員側もそんなにモチベーションの高い学生を完全に手放すのは惜しい…計画とはちょっと違う気がしても、現実的には決して悪くない選択肢です。

3.その他…諦めずとも手はある

日本の大学院も受験せず、国内外に研究関連で行き先が無い、という場合は… もし日本の大学院進学でも良いのであれば、秋入学など、できるだけ早く正規の大学院生として復活するのが安全です。きっと再起の機会はある。研究生など、入学前に研究室に所属するためのオフィシャルな身分もあります。海外でのPh.D.取得を諦めていないのであれば、まずは研究ができる環境に戻って態勢を立て直すようにしましょう。語学留学やワーキングホリデーなど、英語力を付ければ何とかなるものと考えがちですが、しばらく勉強して伸びなかった英語に無理して時間とお金をつぎ込む前に、落ち着いて状況を判断しましょう!

まとめ

以上、来年海外の大学院、Ph.D.コースに応募する人の役に立つかと思いまとめてみました。また、年末に海外の大学院に出願した人で、この時期、無事にオファーをもらった人はおめでとう!うまくいってない人も、ここまでの努力はきっと今後の研究やキャリア形成の役に立ちます。少し休んだら次の策を練るのです!

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