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生命科学系の大学院留学・研究インターンシップ

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海外のPh.D.コースへの留学や大学生の研究インターンシップに関する記事をまとめています。
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記事一覧

研究室アルバイトのメリット

授業料、生活費、通学費やパソコンの購入など、大学生活では稼ぎが無いのにお金はかかる。新学期の忙しさも落ち着き、アルバイトを探している人もいるだろう。とはいえ、長い受験競争を経て勝ち取った、せっかくの大学での勉強の機会があるのに、学問とは関係ないアルバイトに多くの時間を費やすのに疑問を感じる人もいるかと思う。せっかく大学の設備や資料へのアクセスがあるのに、授業料の元を取らないのはもったいない。 そんな大学生には、研究機関、大学研究室でのアルバイトをおすすめしたい。 これまで

日本の大学卒業から海外大学院入学までの期間はどう過ごす?

生命科学系のPh.D.プログラムへの大学院留学、私の学生としての経験はもう20年以上前の話ですけど、今もあまり変わっていないと思いますので「これから応募する方」に向けて書いておきたいと思います。 米国の大学院(8月最終週~9月入学)のアクセプト通知は早い人で3月初め。それから、徐々に補欠の合格者に連絡が届いて、4月中旬までにオファーを受け入れるかの意思表示をしてください、というのが合格通知から各プログラムの入学者が決まるです。米国の生命科学系の良い大学院に「インタビュー無し

笛吹けど踊らず… 研究留学希望者と財源のミスマッチ

生命科学分野で、海外の大学院留学に関する記事をいくつかポストしてきましたが、日本の大学院に在籍しつつ、海外で研究だけ経験したい、という人もいると思います。 実は大学院プログラムや科研費種目には、「若手研究者の海外派遣」のような予算が組み込まれていることがあり、毎年決まった数の学生や研究者を海外に派遣する必要があるのに、なかなか希望者が集まらない、というような場合があります。そういうのは、身近にいる教員に聞くと紹介してもらえるので、遠慮せずに聞いてみると良いです。 このルー

英語ネイティブの研究メンター

科学研究業界の公用語はもちろん英語だ。AI翻訳サービスなどが発達しても、日本の大学生にとって、海外留学の大きな目的の一つは言語のトレーニングだろう。 大学院での研究メンター(研究指導教員)は、ひとりの研究者の育成を任せられたような立場にある。ある研究室の出身者がそのメンターのクローンのように、研究スタイルや考え方を刷り込まれているような状況をよく見かける。これは、研究テーマの設定や、論文の読み方、実験のデザインや結果の解釈などについて、細かいところまでアドバイスを受ける、日

米国の生命科学系PhDプログラムの外国人定員

大学院に応募する、といえば、何らかの定員があって、その枠を競うイメージは欧米でも日本と変わらない。目安となる全体の定員については、募集要項に書いてあるが、実際には「外国人枠」のようなものがあるので、少し書いておこうと思う。 欧米の生命科学分野の大学院の学生は、入学から卒業まで、学費と生活費を全てカバーする奨学金を支給されてコースワークや研究に励む。大学院の定員というのは、この経済支援の定員、ともいえる。 国籍で応募者を差別する意図は無いとはいえ、奨学金の種類によっては国籍

研究インターンシップ応募にむけて自己アピールサイトと名刺を作ろう

9月11日にポストした「生命科学系の大学生が研究留学する3つの方法」では、サマープログラムへの応募や、研究室に直接メールでコンタクトを取る方法を紹介しました。それと並行して、英語で自己紹介ウェブサイトを作っておくと良いですよ。その理由やポイントなどをまとめます。 1.あらためて自分のことをよく見直す機会として 学部生の早くから(子供のころから?)研究者を目指している人は、就職活動はしてないと思いますが、「自己分析」みたいなことからはじまります。 自分が興味をもっている

研究インターンシップと「ビギナーズラック」

ラボに新人が来るというのは、短期間の滞在であってもうれしい気分になるものです。面倒見の良い研究者であれば、最初から研究に失望しないように、ほど良いプロジェクトを提案してくれるでしょう。そういう研究テーマは真剣に取り組めば、きっとうまくいく(結果がどうあれ良い経験になる)ので、今後の科学者としてのキャリアを賭けてがんばってください! でもこれは、「その研究が成功したのはボスのおかげだから、調子乗んなよ!」と言いたいのではありません。初めから全部うまくいく研究など無いのです。

海外の大学院応募に必要な推薦状

生命科学系で米国の大学院に応募するときに重要な資料となる推薦状。多くの場合は3通必要で、サマープログラムへの応募にも2通必要なことが多いです。 欧米でFaculty positionに応募した研究者の記事などを参考にすると様子が分かると思いますが、特に米国では推薦状は非常に重要です。論文などの研究業績を持っていない分、大学院への応募などのキャリアの早い段階では推薦状がさらに重視されます。 そして大学生の研究留学、インターンシップは、まさにその推薦状を確保するための腕試

生命科学系の大学生が研究留学する3つの方法

大学生が海外で研究インターンシップを経験するには、主に3つの方法があります。具体的なことをあれこれ考えながら情報取集するだけでも、自分や研究業界の様子を知ることができ、良い経験になります。キャリア希望やリスクに対する考え方はひとそれぞれ。いろいろなご縁を経て、自分にあった方向性が見えてくると思います。 1.サマープログラムを通して参加する 9月9日の記事「生命科学系の大学生対象の海外研究インターンシップ」では3つのプログラムを挙げましたが、他にもたくさんあります。日本の大

大学院進学前に海外で研究を経験してみる

昨日の記事「生命科学系の大学生対象の海外研究インターンシップ」の続きです。 https://note.com/muratani/n/n91d1d5b7e507 私の知っているライフサイエンス分野の話になりますが、大学院に進学する前に、いろいろな研究経験を積むことはとても役に立ちます。「卒業研究」として学部生の3年から4年次にかけて、カリキュラムに組み込まれていることが多いと思います。 でも日本では、卒研のラボ以外に大学院で進むのはちょっと気まずい、と感じる学生も多いか

生命科学系の大学生対象の海外研究インターンシップ

大学院に進んで研究したいと決めている大学生には、研究室に早くから出入りできる研究室アルバイトなどを考えている方も多いかと思います。所属大学の研究室にお願いするのも良いですが、夏休みなどを利用して海外でのインターンシップはいかがでしょうか? 興味がある研究室にコンタクトを取って、受け入れが決まってからビザの手配など…と考えると来夏に向けて約1年前から準備、というのが良いタイミングです。大学院での留学にもつながりますので、これからしばらく関連記事を発信したいと思います。