見出し画像

サム・ライミ監督の映画「スパイダーマン2」レビュー「初心」。

仮に「ヒーロー」を「日々世のため人のために尽くす存在」とするなら
街の治安を守る警官や消防団員も
情報を伝達する新聞配達員や郵便配達員も
皆「ヒーロー」だ。
しかし彼らは労働に対する
「対価」を受け取っているではないか,
ただの労働者と変わらないではないかと反論される方もおられるだろう。

本作品はそうした問いに対するひとつの「回答」を描いている。
ピーター(トビー・マグワイヤ)は「スパイダーマン」となり
日々世のため人のために尽くしているのに
新聞では叩かれ何の見返りもない。
ピーターがスパイダーマンになることに嫌気が差すと
それに呼応するようにスパイダーマンの能力が失われてゆく。

ちょうどいいや。
ピーターはスパイダーマンのスーツをゴミ箱に捨てて
本日只今この瞬間から「唯のピーター」に戻る決意をする。
路地裏でカツアゲされている人を見ても見て見ぬふり
火災が発生し救いを求める声が聴こえても聴いて聴かぬふり。
「そういう出来事」は警官や消防団員が職務を果たせばそれで済むこと…。

しかし本当にそれで「正しい」のだろうか?
警官や消防団員は労働に対する「対価」が目当てで
それぞれの「進路」を決めたのであろうか?

そうじゃないだろう!?

僕は今「初心」について「青雲の志」について問うているのだ。
「日々世のため人のために尽くしたい」から
現行の職業に就いたのではないのか。
「対価」など二の次三の次四の次五の次だ!

ピーターが叔母メイから激励され忘れかけていた「初心」を思い出し
一度は捨てたスパイダーマンのスーツを再び身につけ
「自分にしかできないこと」を成すために再び立ち上がる。
ふと気がつくと失われていた能力が全回復していた。

本作品のオチは勿論書かない。
しかし概略だけは書いておこう。
スパイダーマンは決して「独りぼっち」ではなかった。
マスコミが彼をどう叩こうと心ある人々は皆彼を愛しているのだ。

日々世のため人のために尽くす全ての「ヒーローたち」に対する
感謝の念に満ち溢れた心あるもの必見の作品である。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?