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映画「エイリアン・コップ」レビュー「くっそ…こんな…知性のかっけっらっもないウスラバカ映画の分際で…最後の最後で男泣きさせれられるとは…カッコ良過ぎるんだよ…。」

本日フィールドワークス社から
映画「エイリアン・コップ」の円盤が届きまして。
僕は特典として特製マグカップが付属するコースを選んだのですが
このマグカップの名前が「エイリアン・コップ」。
フィールドワークス社らしからぬ頭の悪さに辟易していたのですが…。

おいが間違っちょった。

フィールドワークス社はな。

この映画の頭の悪さに合わせて
頭の悪い特典を用意したのだと
よおく分かったよ…。

これからこの映画の頭の悪さを解説してゆきたいと思う。

海面に隕石が落下したのを目撃した若いカップルの女の方が
男(ランス・エドワーズ/大塚芳忠)が
ターミネーターのジャンパー姿のコスプレして
海からダバーっと浮上して上陸するのを目撃する。

男は警官から銃を奪おうとして警官隊に銃殺され解剖に回される。
解剖医のドリー(戸田恵子/アンパンマン)は男の死体の銃創が
みるみる回復し蘇生するのを目の当たりにして唖然とする。

男は自分の名前をタウンゼントと名乗り
自分が宇宙のお巡りさん=ピースメーカーだと世迷言をほざく。
彼は宇宙の凶悪犯イエーツ(ロバート・フォスター/砂川哲朗)を
追って地球にやって来たという。

ドリーは映画「コマンドー」で言うところのシンディに相当し
行き掛かり上タウンゼントと行動を共にすることとなった彼女は
彼の奇行と彼とイエーツとのカーチェイスや銃撃戦や殴り合いに
悲鳴を上げ驚く係を忠実にこなして行く。

そんなドリーにイエーツが接触し
自分こそがピースメーカーであり
凶悪犯タウンゼントを追って地球にやって来たと主張するのである。

タウンゼントとイエーツ。

いったいどちらの言っていることが真実なのか…。

ふたりのコトを信じられると言えば信じられるし,
信じられないと言えば信じられない…。

ドリーはタウンゼントが地球年齢で30歳くらいに見えて
イエーツが50歳前後に見えることに注目して
1.より若く
2.よりイケメンな
タウンゼントの方を信じたばかりか
その場で素っ裸になって
シャワーを浴びていた彼に絡みつき
宇宙人とヤったら
どういう事になるのかを全く考慮せず
いとも簡単に一線を越えるのであった…。

ドリーの頭の悪さに眩暈を覚えつつも
彼女の選択の成り行きを見守る他ない僕であった…。

あのさあ…。
僕…この映画見覚えがあるわ…。
多分…社会人になってから日曜洋画劇場で観たんだと思う…。
途中から話を思い出して…。
どっちがピースメーカーか思い出したもん。

ブックレットによると本作は「ヒドゥン」と言うより「ターミネーター」の影響を受けているとライターのてらさわホークさんは主張されるが…
少なくとも「ターミネーター」には「思慮」が描かれており
ソレは本作品の何処を探してもない要素であり
『「ターミネーター」に対して失礼である』
との感慨を覚える。

ただ…「ターミネーター」と「ヒドゥン」を並べるとさあ。
「エイリアン・コップ」はどっちかと言えば「ヒドゥン」に似てる。
ピースメーカー=ウルトラマンが
宇宙の凶悪犯=ベムラーを追って地球にやって来たところがね。

でもさ。

この映画のキモは
どっちがウルトラマンでどっちがベムラーだかが分からない点にあり
両者ともとても頭が悪く知性でも外見でも見分けが付かない
大暴れするしか能のない二体の怪獣が
地球を舞台にして戦っている様にしか見えない点にあるのだ。

この映画の知性はゼロで観れば観る程知能指数が下がる作風なのだ。
宇宙人同士の戦いが拳固の殴り合いで描かれ
「車」はただキャット空中三回転しながら横転して大爆発する為に存在し
森羅万象ありとあらゆる事物に火薬が仕込んであり触れた途端に大爆発。

ドリー「アナタは何故警察に追われているの?」
タウンゼント「僕がハンサムだからさ」

フランク刑事「キミ(ドリー)がオレと距離を置くのは」
「オレのセックスアピールが強過ぎるからだ」

ドリー「帰ってシャワーを浴びたいの」
フランク「つまりキミは…オレの背中を流したいんだな」

タウンゼント「オレが裸なのに」
「キミ(ドリー)は何故オレを求めて来ない?」

等々男の口が開けばセクハラ発言のオンパレードで
男が馬鹿として描かれてると思えば
女(ドリー)も負けず劣らず短慮に描かれる
男女平等ぶりに呆れ果てて物が言えぬ。

この映画が1990年に作られたとは俄かに信じ難い。

この映画の終盤でタウンゼントとイエーツの
どちらがピースメーカーでどちらが宇宙の凶悪犯かが判明するのだが
ドリーが推論に推論を重ねた結果,結論に到達するのではなく

宇宙の凶悪犯「オレが宇宙の凶悪犯でしたあ」
ドリー「なんですって…?」
宇宙の凶悪犯「そんな事も分からないのか?」
「バーカバーカ!」

という映画史上最低最悪の
頭の悪い「謎解き」が披露される有様。

いやあ…。
「ここんところ」をじっくりと丁寧に描いていれば
映画に対する心証が劇的に改善しただろうと愚考します…。

ホントにね…。
「人間は考える葦である」
と人間の知性を信奉される方が御覧になられたら
漏れなく憤死されること間違いなしと
絶対の自信をもって保障します。

それでもね。

事件が解決してピースメーカーが宇宙に帰還する場面が
死ぬ程カッコ良くて泣けるのですよ…。

夕陽の中に佇むピースメーカーの姿が逆光に映えて…。
次の瞬間,夕陽だけが映っている場面にね…。

例え宇宙船とかSF的仕掛けが無くとも
例えお金をかけなくとも
センス・オブ・ワンダー(不思議を不思議と思う感覚)は
表現出来るのですよ…。

あくまでもピースメーカーという危険極まりない仕事に生きる男と
そんな生きて帰って来る保証ゼロの仕事に就く男を
待つのに耐えられない女との別れの場面としても最高なのです。

こんな…知性のかっけっらっもないウスラバカ映画の癖に…。
最後に男泣きさせるとか…カッコ良過ぎるんだよ…。

この円盤は画質の問題が解決されず発売直前に発売日が延期され
最後の最後まで画質の向上に務めました。
いまこうやって映画を観ると
ピントはボケていて事物が二重に見えることが多々あり…
退色も多く決して「鮮やかな色調」ではありません。
まあでも映画は「観られればいい」と僕は思ってるので
コレ以上の画質向上が望めないというのなら
それはもう仕方がないと思ってます。

この映画の正式な尺は91分で
ソレがマスターとなっているのですが
日曜洋画劇場放映時は本編マスターとは
一部編集方法が異なり尺が94分となってます。
91分版には吹替がカバーしてない箇所があり吹替+字幕となってます。
従って94分版が吹替が一切カットされてないバージョンとなる訳です。

この円盤には94分版が特典として収録されてます。

封入特典はてらさわホークさんと浦木巧さんによるブックレットと
パンフレットの縮小版。
老眼の進行著しい僕には老眼鏡が必須で…。
33年前の映画の円盤を「誰が」観るのか考慮して欲しかったところですね。




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