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ジャック・カーディフ監督の映画「悪魔の植物人間」レビュー「本作は『仮面ライダー』『マジンガーZ』『デビルマン』『魔女っ子メグ』等々の夢と『気違い博士』『奇形』『猟奇趣味』等々の悪夢を合体させた悪趣味映画の化身と言えるのだ…」

気違い博士(我らがドナルド・プレザンス)が食糧問題を解決する為に
「光合成の出来る人間」を研究する過程で植物人間を生む。
植物人間の外見はまんまサラセニアン。
異形の助手がフリークス(奇形)と今では決して作れないだろう。

いい加減ね…「こういう映画」を観るのは止めようと思うのですが…
僕の体内を流れる「猟奇の血」がソレをさせてくれんのです…。

フリークスの中に
「より健常者に近い方が「偉い」」
という序列が存在するのは実際に取材した結果を反映してる。

「より偉い」健常者になろうとしてかつての仲間を罵倒する男が
フリークス達に裁かれる描写が心に残る。

本作を視聴して
これは英国版「デビルマン」(1972-73)なのではと思い始める。

植物人間と化しても人の心を失わなかった男と
人の皮を被った悪魔の様な博士の対比が一層泣けて来て,
博士が植物人間と化した男に裁かれる場面は,
美樹の両親を拷問死に追い遣った人間を業火で焼くデビルマンそのもの。

加えて博士の異形の助手が人間社会からもフリークス社会からも
爪弾きにされ見事に「哀切」が描かれていて,また泣きました。

freaksを「奇形」と訳す英断,そもそも奇形人間大集合の本作のブルーレイ化を引き受けたキングレコードの勇気に惜しみない拍手を送りたい。

本円盤には吹替が搭載されていて
英国の緑川博士(ドナルド・プレザンス)に
サラセニアン(植物人間)に改造される本郷猛に相当する役柄を演じるのが
兜甲児(石丸博也さん)であり石丸さんのオツムが愚鈍なサラセニアンの
愚鈍な吹替は夢見が悪くなる程の衝撃を受けた。
皆様も是非,兜甲児の酩酊したかの様なべらんめえ口調を堪能して欲しい。

因みにサラセニアン(兜甲児)の恋人のヒロインは神崎メグ(吉田理保子さん)。
兜甲児と神崎メグの夢の共演というか悪夢の饗宴というか…

ともあれ本作は…「マジンガーZ」「魔女っ子メグ」
「仮面ライダー」「デビルマン」…と当時少年だった
僕のハートをキャッチして離さないうえ…
奇形人間大集合・「得体の知れないもの」に改造される恐怖…と
僕の猟奇趣味まで満たす離れ技を披露している。

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