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映画「ティックス」レビュー「ロクデナシを安易にダニに殺させてしまったら『心に問題を抱える少年少女達を更生させる』って映画の趣旨も殺されてしまうんです。」

ええと「ティックス」というのはダニのことですね。
犬を飼った経験のある方なら
「実物」を御覧になられた事があるのではないでしょうか。
犬のお腹の柔らかい部分にダニが寄生して血を吸って
小豆(あずき)大の大きさと色となってるのを良く取ったものです。

そのダニがマリファナの成長促進剤が作用して子供の握り拳程に巨大化。
心に問題を抱える子供達の更生キャンプを襲う。
キャンプ関係者&ダニ&違法栽培した悪党の三つ巴の争いの描写が新しく,
悪党がダニ以下の存在として描かれ,漏れなくキツ目の天罰が下る構成。

悪党よりイマイチキャラ立ちの弱いダニが一念発起して
ザ・フライのブランドルもビックリの変態を見せる。

主人公の発達障害者のメガネ君が
幼い頃に森で道に迷ってパニックを起こしたトラウマを抱えながら
徐々にリーダーシップを発揮する姿にグッと来ます。

てっきりダニの気持ち悪さや頭の弱い若い男女がダニに襲われる為だけに
組んずほぐれつするのを売りにするかと思ったら
悪党やダニに正面から立ち向かう勇気の発露を描いてて
要はエログロ趣味ではなく
エンターテインメントとして脚本が素晴らしいのです。

確かにメガネ君をいじめる敵役の不良少年は登場しますし
更生キャンプの主催者の奥さんは有体に言ってロクデナシなのですが
だからといってそうしたロクデナシを死なせてしまっては
「心に問題を抱える少年少女を更生させる」
って映画の趣旨が死ぬんです。
ロクデナシこそ更生の機会を多く与えられるべきであって
救い様のないロクデナシは
麻薬を違法栽培した悪党に限る割り切りが素晴らしいんです。

でもラストのアレは十分気持ち悪いので
悪趣味なホラー映画愛好家もニッコリの出来になってます。

残念な事に国内ではVHSビデオ止まり。
ニューライン社さん辺りにブルーレイ化して欲しい所ですね。

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