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いしいひさいち「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」レビュー

いしいひさいち先生の作品との出会いは劇場公開された「がんばれ!!タブチくん!!」と言う
プロ野球の世界を描いた野球アニメと言ったら
「巨人の星」とか「侍ジャイアンツ」とかしか知らん僕には
田淵幸一氏よりも広岡達朗氏の造形が衝撃であった。
広岡さんの掲げる管理野球はサラリーマンや水島新司先生に嫌われてなあ。
サラリーマンは普段管理されて生きてるもんだから勝っても負けても広岡さんが「予想通り」なんて言って
感情を表に表さず,それでいて監督する西武ライオンズ滅茶苦茶強かったからますます反感買ってて,
広岡さんファンの僕は憤懣やる方ない思いだったのだけど「タブチくん」では愛嬌があって好きでした。

僕は「タブチくん」の続編アニメを経て「おじゃまんが山田くん」のアニメにハマった次第。
つまり恥ずかしながら,いしい先生の漫画を読むのは本書が初めて。
到底ファンとは名乗れない体たらく。

僕は本作を自費出版の書籍版で読んだのだけど,
ポルトガルの国民歌謡「ファド」の歌手を目指す頭は悪いが歌の上手い女子高生・吉川ロカと,
柄は悪いが姉御肌の一年留年して同級生の柴島美乃の奇妙な友情を描きつつ,
ロカが歌手となって行くのを美乃が影日向なく支えて行く話…とずっと思っていたのですが,
最後に大どんでん返しがあってロカが独りに耐えられる・独りで歩いて行ける歌手になって行く話に着地します。

いしい先生のファン層はどうやら僕と同年代の初老のオッサンらしく,
本作に関する感想がSNSに挙げられたのですが概ね好意的であったと記憶します。

アイドルマスターの様に後方腕組み彼氏面するプロデューサーもおらず,
思春期の女子が主人公になると大抵恋だの愛だの好きな相手と結ばれるだの色恋描写が付属するのですが
本作にはそうした描写が一切ありません。
そんなの当たり前だよねえ。
何で若い女が主人公だと必ず「恋する事」「愛する事」「結ばれる事」が重課税の如く,のしかかるんじゃい。
しかもこの三大重課税,ぜぇぇぇんぶ男絡み。「女の幸せ」は男が運んでくるんですかねえ?(棒読み)
何が「命短し恋せよ乙女」じゃい。何で女は「恋する事」しか許されんのじゃい。
だってさあ若い男が主人公だったら三大重課税が一切かからないのが普通じゃん。
おかしいだろ!
少女漫画はさあ足に鉄球付けて「青春を思う存分謳歌しろ」って言われてるんですよ。
まるで奴隷の一生である。
謳歌出来るかボケッ!

閑話休題

この度Amazonでも電子書籍として本書を読めるようになったのは目出度いですね。
自費出版とAmazonじゃあ目に触れる機会も段違いでしょうしね。
精々ロカの「心の友」に心を搔き乱されるがよいわ!

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