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アニメ「響け!ユーフォニアム」第3期第10話「つたえるアルペジオ」レビュー「こんなに練習して来たのに…こんなに真剣に音楽に向き合って来たのに…「北宇治の音」がッ全国に響かない筈がないッ!」

関西大会を目前にした北宇治吹奏楽部では
今や練習中に公然と不満が訴えかけられる様になる。

赤松麻紀「あの…これからも練習…ずっとこの形で続くんですか…?」
堺万紗子「オーディションの都度合奏のメンバーが変わるって…」
赤松「それって…本当に演奏が良くなるのかなって…」

高坂「自分の不満をオーディションのせいにしないで下さい」
「全員納得ずくで進めている事でしょ?」

赤松「だけどさ…部の空気何とかしてよ…」
堺「合宿からこっち…ずっと悪いままじゃん…」
「部長だってそうでしょ?」
「ソリ…急に変更になって…」

部内の空気が悪く…練習に差し支えあると3年の口から不満が噴出し
部長の黄前,副部長の塚本,ドラムメジャーの高坂は
不満の対応に大童(おおわらわ)…。
こんなコトで…関西大会を突破出来るとはとても思えない…。

高坂と塚本は四六時中口論し…。
高坂は「正論繰り返しマシーン」と化して
「ただ!偉大なる尊師・滝を信じろ!」の一辺倒…。
滝に相談しても「全国金を獲る為のベストの編成を模索してます…」
と回答されれば返す言葉がない…。

八方塞がりとなった黄前は…田中あすかのマンションに向かっていた…。
「ワタシのお姉ちゃん」ならこんなとき何て言うだろう…。

田中あすかと中世古香織はルームシェアして同居していた。
黄前は田中と中世古に悩みを打ち明ける…。

田中「『答え』は簡単でしょ。転校生(黒江)の辞退の申し出を受け入れて
黄前ちゃんがソリ吹けばいいだけじゃん」
黄前「でも…」
田中「でも…?」
黄前「それじゃオーディションの意味無いじゃないですか…」
「北宇治は実力主義!」
「ワタシと麗奈が香織先輩の「夢」を粉砕して北宇治を実力主義に…アッ」
中世古「どうしたの黄前さん…?」「続けなよ」
黄前「と…兎に角ワタシ達が
そうやって新生北宇治吹奏楽部を構築しておきながら…」
「ワタシがワタシの決めたコトを破るワケには…」
田中「ハイそこまで。オマエの御高説なんぞどうだっていいんだよ」
「テメエのやる事なす事全てワガママ」
『オーディションは一番上手い人に吹いて欲しい』
『ワタシがソリに選ばれなかった理由を滝さんにキチンと説明して欲しい』
「ソレは全て…オマエのワガママだろ…?」
「皆が皆「答え」を出して行動してるとは限らない」
「滝さんもその転校生も迷ってる」
「でも…迷ってるところを見せたら終わりとも思ってる」
「だから何も言わない」
黄前「じゃあ…どうすればいいんですか?」
田中「そんなの知るか!」
「ただ…オマエのいいトコロは!」
「無責任に言いたいコトを好き勝手に言っちゃうトコロでしょ?」
「ワタシを「説得」したときの様に!」
「言っとくけどワタシ…あのトキアンタに言われたコト…」
「今でもひっとっつっもっ「正しい」なんて思ってないからね?」
「でも…アンタがワガママを無責任に言うから折れるしかなかった…」
「テメエが命ギリギリまで追い詰められねえと動けねえのは!」
「いつものことでしょ」
「シャワー浴びて来る」

中世古「羨ましいな…」
「黄前さんの言葉が…あすかに響いたんだよ…」

人の心は…決して「正しさ」では動かせない…。
人の心に「響かせる」コトが必要なんだッ!
「正しい」コトが重要なんじゃない。
「ワタシがどうしたいか」が重要なんだッ!
あすかと香織との相談の後に黄前の目が据わる。

関西大会直前に…「黄前の大演説」が炸裂するッ!

ワタシは…1年も3年も同じ土俵で競い合えて…
ひとつの目標に向かって進める北宇治が大好きです…
その北宇治で全国金を獲りたい…
2年間ずっと思って来たけど…
でも…どうしても…「そこ」に届かなかった…
ここにいる2年と3年…そして滝先生もきっと思ってる…。

「何でだよッ」って!

だから「何か」を変えなきゃいけないって…
幹部でそう考えて…
今年はこのオーディション形式を提案しました…
ソレが間違っていたとは思いません…
より北宇治らしいやり方だとも思いました…
ですが…その事で戸惑いを感じた人がいたことも事実で…
部長としてこの場で謝らせてください…

「すみませんでした」

前回,今回と「正しい人」として描かれていた高坂が
「久美子…」
と呟き…塚本が黄前に続いて頭を下げたのを見て
自分も頭を下げる描写に…何と言うかこの…「震える」のである…。
正しい人・高坂を黄前の演説が説得してゆく過程が良く描かれていてね…。

黄前は…2年前に僅か半年で北宇治吹奏楽部を全国大会に連れて行った
「滝の手腕」を目の当たりにしており…。
今回の大演説でも「滝の責任」を一切追究しなかった。
悪いのは「毎回オーディション」を滝に提案した我々幹部なのだと。
この「謝り方」なら滝を尊師と崇める高坂も納得するし
幹部として幾らでも頭を下げられる。
悪いのは「ワタシ達幹部」であって
「滝」にも「滝の指導方針」にも一切責任は無いのだから。

実際…この…。
「部内の空気が悪くなってこのままでは関西大会に臨めない」
って問題の「落としどころ」って
「幹部全員が部員に謝罪する」しかないでしょ。
然る後に改めて部員に関西大会に向けての助力を懇願する他ないのである。

そもそも高校生に「滝の指導方針」の責任追及や
滝をリコールする権限などなく
例え「滝の指導方針」に不満があっても
「滝の代わり」なんていないのだから
「問題」はあるかも知れないが
滝の指導に従いながら全国金を目指す他ないのである。

今更謝られても納得出来ない人もいると思います…
でも…それでもワタシは北宇治でッ!
全国金を獲りたいッ!

コレはワタシのワガママです…
でも…ワタシはここにいるメンバーと…
不満も戸惑いも全て吹き飛ばす最高の演奏をして…
全国に行きたいんです!

1年間…皆を見ていて思いました…
こんなに練習してるのに…
うまくならない筈がないッ!
こんなに真剣に向き合ってるのに…
響かない筈がないッ!

北宇治なら獲れるッ!
ワタシ達なら出来るッ!

だから自信を持って…
今までやって来たコトを信じて…

黄前には…「コレ」があるから…怖いんだ…。
田中あすかの心を震えさせた…。
この…「人の心を響かせる」力が…。

「ユーフォ」3期をずっと視聴して来ましたが
これ程安らかな気持ちでこの言葉を書けたのは初めてです。

「次の曲が始まるのです」

「アルペジオ」とは和音を低音から順に弾いて行くことで
リズム感や深みを演出する演出方法。

「黄前の演説」は常にローテンションで始まり…。
徐々にテンションが高まり…。
最後はウルトラハイテンションになって
人の心を響かせるコトを指しているのだと思います。

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