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フィル・スティーヴンス監督の映画「フランク・エッジ・ジュニア」(2009)(「フラワーズ02」特典映像)レビュー「まごころを君に」。

会社勤めのフランクはバス停留所でいつも出会う女性…。
「憧れのヒト」を惨殺する妄想に耽る
…幾ら「内心の自由」が保証されているとは言え…
余り感心出来ない趣味を持つ男で
現実にはバツ2の女と誰も掃除しない誰も料理をしない
ゴミ溜めの様な自宅で深い鬱屈を抱えて生きている。

同居人はフランクをパシリとしか思っておらず
アレ買ってこいコレ買ってこいと
彼を顎でコキ使っている。

フランクはドラッグに耽溺しナイフや剃刀で自傷行為に耽って
鬱憤を晴らす日々。

彼のもうひとつの趣味にスナッフビデオ収集があり…。
事実だかフェイクだか知らんが女のハラが鋭利な刃物で裂かれ
内臓が掴み出される画像を繰り返し再生しては自傷行為に耽っている。

そんなある日フランクが会社を解雇されていて
「会社に行くフリ」をしてただけと知った同居人は…
「この無職ヤロー!」「カネはどうすんだよ!」
と面と向かって罵倒し始め…。
彼は発作的に同居人に馬乗りになってコレを撲殺する。

やった!

彼は同居人の遺体を風呂場に運び…。
ノコギリで遺体を解体し始める。
スナッフビデオで学習済なので慣れたもんだ。
バラバラにした遺体を下水に無造作に捨て…
「オレは何処で間違えたんだろうな…?」
と何時もの口癖を吐く。

フランクには「理想」があり…。
停留所で会う「憧れのヒト」と交際を始め…
洒落たレストランで小粋な会話を楽しみ…
「憧れのヒト」を酒瓶で殴打して昏倒させた後,
ハラを鋭利な刃物で裂くのだ…。

違う違う違う!
そうじゃないだろう!

オレの本当の夢は…
「理想の交際相手」と
「理想の結婚」をして
オレの息子(ジュニア)の誕生を祝うコトだ!

女を殺しちまったら
「オレのジュニアが生まれて来るのを祝う」
という真実に永遠に到達出来ない!

フランクの人生は…。
女と出会う→嫌になって惨殺する→
遺体をバラバラに解体して捨てる
の繰り返しで何時まで経っても
理想の女と出会う→理想の交際をする→
理想の女が理想のオレのジュニアを産む→
理想のオレのジュニアの誕生を祝う
という「トゥルーエンド」に到達出来ない
「何かが間違ってる」人生なのだ…。

オレは…一体何処で「分岐」を間違えたんだ!
何がいけない?
何処がいけない?
一体!
何が足りないんだ!
そうだ!
いつの日か!
いつの日か!!

オレは「トゥルーエンド」に到達する!

それまで出会った女を片っ端から殺し続け…。
風呂場でバラバラに解体して捨てる
「バッドエンド」を無限に繰り返す絶対の必要があるんだッ!

(僕の妄想による補完開始)
ジュニア「ダメダメパパ…」
「往生際は良くしなければ…」
「オマエもボクも皆死ぬ…」
「欠陥品は全部死ぬ…」
「全部消えろ…」
「退場するんだ…」
「オマエも…」
「このボクも…」
フランク「黙れェェェェェ!!!」
(僕の妄想による補完終了)

フランクは自傷行為の結果,全身血だら真っ赤となり…。
風呂場でショットガンを咥え…。
ヤク中の無職のコミュ障の…
ウルトラゴアホラービデオ収集&愛好癖のある…
一遍も部屋を掃除せず…
一遍も料理を作らない…
ゴミ溜めに棲むゴミクズの猟奇惨殺魔が…
にっちもさっちもどうにもこうにもならなくなって…
自傷癖が昂じて…
「アタマをショットガンで吹っ飛ばして現実から逃げて死ぬ」
という真実(トゥルーエンド)に到達する。

エンドロールで赤ん坊(ジュニア)の泣き声がして…。
赤ん坊をショットガンで撃ち殺して泣き声を遮断する音声が…。
無限に再生(リプレイ)されて映画は閉じる。
ウルトラゴアホラー映画愛好家は…。
人並みのシアワセなんて求めちゃいけないという
フィルの真心を込めたメッセージに涙する他ないのである…。

本作品は先般VVRよりリリースされた
「フラワーズ02」の円盤の特典映像として丸ごと収録されている。



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