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ルチオ・フルチ監督の映画「地獄の門」4Kリマスター版ブルーレイレビュー「「地獄の門」との馴れ初め」。

画質は良好だが,特典が山崎圭司氏と伊東美和氏の
音声解説のみとはチト寂しい。
…レビューがコレだけではチト寂しいので,
僕と「地獄の門」の馴れ初めについて少々。

本作の存在を知ったのはファンロード誌の映画紹介欄だったと思うが,
詳細に知ったのは作家の菊地秀行氏の
著作「魔界シネマ館」(1987)での紹介。
紹介文を抜粋すると,

『「サンゲリア」の過激さには,もう言葉もなく,
これ以上のゲテモノはそうそう作れんだろうと思っていたら,
「地獄の門」で度肝を抜かれた。
(考えが)甘かったんだよね。
(中略)亡霊が片手を伸ばして犠牲者の後頭部を掴むと,
絶叫と共に脳味噌が噴き出るわ,
親玉の牧師にしてからが,怨霊の癖に十字架で刺された途端に内臓が飛び散り,何の心算か火に包まれるわ,ひたすらシュールなのだ。
そして最高の見せ場…牧師に見詰められた女の眼から血の糸が引き,
その口から,お腹の中身(内臓)が,どっと溢れ出す。
こんなもン,一体誰が「絵」にしようと言い出したんじゃ,
と怒りながら,もうひとりの(内心の)「暗い僕」は大感激。
(ロメロが創設したモダン)ゾンビの栄光は,
イタリア,ルチオ・フルチが担うな,と拍手したのでありました。』

ネットもウィキも無い時代,大学に進学して下宿先の池袋の四畳半で,
この一文を何度も何度も読み返しながら,
未だ観ぬ「地獄の門」に期待に胸膨らませていたボンクラ学生が僕だった。
実際に「地獄の門」を観たのは2010年,
SPOから2度目のDVDがリリースされた時だった。

本商品の話に戻ると,音声解説は2014年にリリースされたニューライン社の
本作の最初のブルーレイに収録された,
主演のカトリオーナ・マッコールの音声解説を再録して欲しかった。
聞き手が映画に関する博覧強記ぶりと軽妙な話術で
カトリオーナ・マッコールを上機嫌にし,
黒歴史とされる彼女が人食い人種役を演じる
「アマゾニアン/柔肌に秘めた魔境伝説」
についても,
「アレはコメディと思って出演したのよ」
と進んで話させるインタビューの"鑑"的内容なので。

本商品の評価は最大限にオマケしても星3つが精々かな。

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