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カレン・ブラック&オリヴァー・リード主演の映画「家」レビュー「「へレディタリー/継承」にも「HOUSE ハウス」にも「シャイニング」にも似ている実に欲張りな作風の映画です。」

静かな森に囲まれた白亜の豪邸を借り,ひと夏を過ごそうとやって来た一家。
家主の老兄妹の出した賃貸の条件はひとつ。
最上階に住む彼らの母親に食事を届けるコト。

当初は破格の条件で豪邸を借りられたコトを喜ぶ
夫婦(カレン・ブラック&オリヴァー・リード)だったが
この家には何らかの健やかならざる作用があって
最初に夫が奇行に走り息子をプールで溺死させようとし
次いで妻が異常に家具を大切にし始め
皿を割った息子を必要以上に激しく叱責する様になる。

正気に返った夫は最上階に住む家主の母親に会おうとするが
彼女に食事を届ける妻は頑としてソレを許さない。
夫は妻の眼を盗んで最上階へと向かうが…。

ロバート・マラスコの同名小説をダン・カーティスが映画化。
「家」という余りにもシンプルな邦題がかえって分かりにくく
極めて検索にヒットしにくくなっており
カレン・ブラックの「家」,オリヴァー・リードの「家」と
「注釈」を付ける絶対の必要があるのが頭痛のタネである。

古い屋敷の健やかならざる力が先ずオリヴァー・リードに
次にカレン・ブラックに作用し牙をむく。
原作未読だが丁寧に映像化してくれた感横溢。
取り分け伯母の死の描写は見事。
舌足らず感は原作映像化の常。
連想したのはキング&キューブリックの「シャイニング」。
くっそ~原作読んでたら倍楽しめた!

大体!
カレン・ブラックとオリヴァー・リードが夫婦である時点で
真面(まとも)な映画なワケないじゃん。

古い家に魅入られた女性(カレン・ブラック)が
新たな女主人となる迄を描く。
同時期に大林宣彦監督の「ハウス」って映画が公開されて
池上季実子が古い家の新たな女主人となるまでを描いており
「偶然の一致」にしては余りに似過ぎている。

この家の健やかならざる作用は当然のことながら
最上階より発しており
オリヴァー・リードが家の最上階で
「何」を見るのかが最大のクライマックスとなっている。

「先代」から家の健やかならざる力を継ぐところは
アリ・アスターの「へレディタリー/継承」似,
カレン・ブラックを池上季実子に置き換えると
大林宣彦の「HOUSE ハウス」似,
家族が家に取り込まれて写真が飾られるところは
キューブリックの「シャイニング」似という実に欲張りな作風。

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