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スティーヴン・キング「ミザリー」レビュー「矢野浩三郎氏の驚異の翻訳に唸る」

本作の主人公の作家はポール・シェルダンと言い,如何にも(シドニー・シェルダンみたいな)流行作家らしい名前なのだが,彼が通俗小説「ミザリー」の最終回の原稿を持ったまま自動車事故に遭い,アニーと名乗る元看護士の女に助けられる。
彼女は「ミザリー」の大ファンで,最終話で彼女が死んで終わる結末に激昂し,ポールに小説の続きを書くよう強要する。彼は大怪我をしていて身動きが出来ず鎮痛剤欲しさに「続き」を書き始める。
だがアニーは「ミザリー」の熱烈な愛読者であるだけでなく超有能な編集者でもあって彼女の為だけに書かれる「ミザリーの帰還」には一切の矛盾・ゴマカシを許さない。
ポールは小説の中で殺した女を生き返らせるべく執筆を開始する。
嫌々書き始めた彼であったが創作者としての本能故なのかミザリーは「死んだ事にされた」のではないかと思い付き健筆をふるい始めるのであった…。

彼はタイプライターで執筆してるのだが最初Nキーが使えなくなると原文のNが空欄になるのだが翻訳文では「な行」及び「ん」が空欄となり,次いでTキーが使えなくなり手書きで空欄を埋め始めると「た行,な行,ん」が手書きフォントとなるのだ。
翻訳者の矢野浩三郎氏の拘りに脱帽する他ない。

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