現代詩 静夜思

ふと
夜中に目を覚ました

この胸のうちに抱える不安のせいだ

あの人からも
この人からも
メールの返事が来ない

もしかして嫌われてるのかな

車通りもない深夜
月光が障子を照らす
真四角 白く浮かんだ障子は
布団の上に光を落とす

その月光を角砂糖に見まごう
苦々しい不安に
一粒の
センチメンタリズム
心のうちは仄かに甘い

光の中で
詩でも嗜もうかと思ったが
悲しいことに詩才がない

寝てしまおうかと思ったが
到底眠気が離れてしまった

暫く目をつぶらんかな
ああ願わくば
僅かの微睡みに流れる景色が
幸福の景色でありますように

それは例えば太陽と馬鈴薯
草の生えた土手を
転げて遊ぶ子どもたち

目を開けたり閉じたりしながら
束の間の夢を見た

光の中にいる人々よ

前略
昏き世界の底辺より
静夜思

(現代詩「静夜思」村崎カイロ)

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世界の名作を
適当に作り変えるという
不遜と傲岸。

「現代詩」と
タイトルまで冠してしまったのは
若気の至りとお許し下さい。
(もう若くもないですけどね)

自分の勉強のために改めて原文を
掲載します。

静夜思(李白)
牀前(しょうぜん) 月光を看る
疑うらくは是 地上の霜かと
頭(こうべ)を挙げて 山月を望み
頭(こうべ)を低(た)れて 故鄕を思う

素晴らしいですね。
この凝縮されたセンテンスの中に
込められた詩情の圧倒的な質量たるや。
言葉の力は偉大です。