現代詩 「ギヨタンの夢」

夢の中で仕事をしていて
上手にできないのが切なくて
目が覚めた
早く目を瞑り
再び仕事にとりかからねば
可及的速やかに
朝はもう其処まで来ている
夜を徹して職工たちは
今も慌ただしく労働している
だがしかし
無策に寝ても詮方ない
革新的な作業工程を考えなけりゃあ
斯うして起きた意味がない
其う 意味がない

ぬばたまの未明の閨に
胡座をかいて僕は
仕事の要領を考えた
ううむふむむと考える
だがしかし
此等は所詮 夢の産物
僕が目覚めた以上
仕事に取り組んだ熱情も
職工たちと鎬を削った錬磨も
泡沫の如く消失したのだ

夢というものは
目を開ければ果敢なく消失する
紅茶のように
檸檬のように

銀色のスプーンの上の
角砂糖をラムに浸して
マッチを擦る
ゆらめく青い炎のように

実は此の詩も夢なのだ
其うして僕も夢なのだ
詰まりは君の
ギヨタンの夢
遠い夜明け
凍土の匂い
ひとひらの雪

眠ろう
目を閉じて
まほろばの歯車を回し
労働を経世済民に捧げるのだ

冬めく早暁
二度寝の布団から
諸君、おやすみ良い夢を

(現代詩「ギヨタンの夢」村崎カイロ)

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