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村崎懐炉短編小説集

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短編小説をまとめました。僕は不思議な話や甘い恋の話が好きなんです。
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#墓地

黄泉比良坂墓地太郎事件簿「かごめ」

「xxxxx!」
その日、恐山杜夫は罵詈雑言を喚き散らし、目につく墓石を片端から倒した。
「xxxxx!」
ユンボとは油圧式のパワーショベルカーのことであるが、杜夫はユンボのレバーを操って鉄腕を振りかざし、ヘヴィ級ボクサーの如くダイナマイトなブロウを墓石に見舞った。墓石は倒れ、崩れ、粉砕された。
夏の日であった。蝉が鳴いていた。土埃に塗れた黒い汗が玉となって流れた。杜夫の肺腑を輻射熱が焼いた。

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