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高卒女ブログvol.みかんとばぁさん


寒暖差の激しい、風が冷たい12月。


夜7時、

頭を洗っていた。

しゃかしゃかしゃか。


どういうわけか、

湯船に浸かりすぎて

少しのぼせていたが、


タイルの床は冷たい。


椅子に座り、

のぼせたので、休みながら

風呂を進めていた。



ガチャリ



「叶子ちゃん、みかん階段のとこに

置いといたから、食べてね」


「あ、うん、ありがとう」



カチャ



祖母がみかんをくれた。



その時、私は、みかんだけでなく、

祖母の暖かさを

受け取っていた。


心がきゅっ、とした。


2年前の11月、朝6時過ぎ
「プルルルル、プルルルル」


(こんな朝早く誰だ?)



母が電話に出た
祖父からの電話だった。


「え、ばあちゃんが?」


早朝の電話という違和感は
母の一言と合致してしまった。



祖父に続き、祖母が脳梗塞を発症したという。
隣の市の私たちは車で病院にむかった、、、


祖父を車で拾い、


大学病院についた。


「こんなでかい病院なのか、」


と思った。

 


手術を待つこと、約2時間。


長いんだか、早いんだか、分からない。




「ICUにおばあさまいらっしゃいますので、、」



とのこと。



私と母と祖父は



「ICUって結構重い人が入るとこだよね?」

「たぶんね、、」

「ま、おかしくなってたらしょうがねぇべ」




予想的中。


私が一番最初にはいった。



ベッドの脇には看護師さんが一人、

腕に何本もの点滴らしきものが

つけられている祖母が



暴れていた。




「ねこがね、ベッドのそこにいるんだぁよぉ」


終わった、と、思った。


私たちが来る前、犬の話もしていたらしい。


「犬が家で、待ってるんだよぉ、」


犬はたしかに飼っていた。


て、い、た。



数ヶ月前に亡くなっていた。



絶望という言葉が

当てはまってしまった。



翌日、お見舞いと、書類の手続きのため

病院に向かった。



ICUではなく、違う部屋に移されたという。


集中治療は終わったみたいだ。


ドアを開ける。


おそるおそる、そーっと、


カーテンを開けた、、


続く。










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