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もくもく会でみんなのデータ分析を支援する

こんにちは、オーディオブックなど音声コンテンツ配信プラットフォームaudiobook.jpを運営するオトバンクのBIチームの、muranakaといいます。

今回は、社内で行っている、非データアナリスト (マーケチームやPdMなど) でもSQLを使ったデータ抽出・分析ができるようになるために、BIチームで取り組んでいる通称もくもく会を紹介したいと思います。

もくもく会とは?

もくもく会とは、BIチームのメンバーがSQLやデータ分析についての質問に気軽に答える時間 (通称もくもく会)です。
毎週月曜17-18時で開催しており、部署関係なく社内のだれでも参加して、具体的に自分で書いたSQLへのフィードバックや、分析設計に関して相談ができます。もくもく会とは名付けていますが、黙々と作業する必要はなく、わいわいと話す場です。

どんな部署でも参加歓迎


もくもく会を始める前までは、分析に関する質問はslack上で都度受け付けて、必要に応じてmtgを設けるという形をとっていました。しかし、このような会を設けることで質問するメンバーにも答えるBIにもメリットがありました。

メンバーが質問しやすい

些細な質問だと、「こんな質問して良いのかな・・・」と遠慮が生まれやすくなります。リモートワークだと、相手の雰囲気をみて話しかけるのが難しいが故に、特に普段関わりが薄い人は遠慮しがちです。そうした時に、この会に参加してフランクに質問することで、考えこまずに解決することができます。
また、slack上で質問をテキスト化したり、会議をセットする時間や心理的ハードルを省けることもメリットの一つかなと思います。

BIが効率的に時間を使える

みんなのSQL・分析のサポートと、自分たちの分析タスクに取り組む時間の両立ができるようになりました。
もくもく会を始める前までは、slackで飛んでくるSQLの質問にはすぐ返したいが、slackにはりついていると自分の分析タスクがなかなか進まない・・・という状況でした。質問を放置するのもそれはそれで忍びない気持ちになり、結局細切れに時間をとってしまい深く思考して示唆を出すような分析に時間をとりづらかったのです。
もくもく会を始めてからは、まとまった時間で質問にじっくり対応できるようになり、みんなのSQLのサポートと自分たちが分析をすることの両立ができています。

実際のもくもく会の中身

もくもく会の実際の流れは、

  • 相談者に、やりたい分析や困っていることなどを説明してもらう

  • 解説しつつ、相談者自身でクエリを完成させる

というものになっています。

議事録の一部。大部分がモザイクですみません…

BIですべてクエリを直したり完成させてしまうと、なかなかスキルとして身につかないと思うので、ヒントを出しながら、なるべく相談者自身で調べたり、修正してもらうように心がけています。
また、教えた事柄は、今後も使えるようになるべく汎用的な形で言語化するようにも心がけています。

運用する中での課題

この時間を設けて運用する中で、より効率的にスキルを伝えていく上での課題が2つ出てきました。

①個別のクエリの修正にとどまってしまい、汎用的な学びを得にくい

実際に業務で利用するクエリを書くのは実践的で良いのですが、締め切りが近いとスキル向上よりも、「そのクエリを早く完成させる」ことに重きを置いてしまいます。その結果、表面的な修正に留まり考え方や背景まで手が回らず、次回以降につながる学びを得にくい、ということが起きていました。

②データ抽出の設計段階からの書き直しになってしまう

クエリの相談を受けていると、本来抽出したいデータと実際書いたクエリが食い違っていることがあります。
こうした場合には、クエリの設計や方針だての部分の解説で時間を使ってしまい、①で述べたような表面的な修正に終始してしまっていました。

課題に対するアクション

期限の近いタスクの相談はスコープアウトして別で扱う

この時間では締め切りに余裕があるデータ抽出について扱い、期限が近いデータ抽出については別途レビューをする

せっかく集まって話せる場なので、根本的な考え方や背景を補足したり理解度を確かめながら解説した方が後々のためにもなります。締め切りに余裕があるデータ抽出を扱って、クエリを完成させることよりもSQLの書き方やデータ抽出の方法、データベースの仕様等の理解を優先させ、長期的に見てデータ抽出のためのスキルやノウハウが身につくようにしました。

設計テンプレートを利用する

クエリを書くうえで簡単な設計テンプレートを設定し、それを相談前に埋めてもらう

項目を埋めることで、どんなデータを抽出したいのかが客観的に分かる簡単なテンプレートを設けることで、それに沿ってクエリを書けば本来算出したいデータとクエリの食い違いが起こらないようにしました。

テンプレと書き方の例をセットで議事録の一番上に掲載しています


①はSQLのWHERE句での絞り込みや、FROM・JOINによるテーブルの絞り込みに、②はWHERE句の中でも時間に関する絞り込みに、③はSELECTで抽出するカラムに結び付くので、このテンプレ―トを埋めると、自分が算出したいデータをクエリの構造にクリアに落とし込むことができます。


もくもく会の効果

もくもく会は2020年の12月から始めた取り組みなのですが、1年半ほど運営し、以下のような効果が見えてきています。

  • 入社時はSQL経験0だったCSチームのメンバーが、自分でクエリを書いてユーザー調査するようになった

  • SQL未経験の新卒PdMが、わからないことをもくもく会でどんどん解消して、複雑なクエリを自力で書いて分析できるようになるまでレベルアップした

BI冥利につきるこんな嬉しい声をもらうことも…!


まだまだ改善できる点はありそうですが、これからも、もくもく会を通じて、社内のみなさんのデータ分析力向上に貢献していければと思っています。