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夢をみた #3


ほとんどの場合はそうではないが、

稀に、自分が夢をみていることを自覚できる夢がある。


登場人物のない夢だった。


目がよく見えない。見えるという概念すら危うい夢の中で

薄い繭のようなものに包まれていた。


音として成立する前のような、音がする。

ぼんやりと脳に届いて、ふわふわと平衡感覚を鈍らせる。


ふと、霧がわずかに晴れたような感覚があり、意識が外に向かう。


月明りが薄い雲と雨を通して、室内に届いている。

自分の背後の窓のそのまた遠くでこちらを見ている月に見守られながら

また意識を内側に戻していく。



朝はまだ遠い。



写真:N・S・ハルシャ(「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」にて)
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