読書メモ(達人のサイエンス)

■感想

・会社からの推薦図書で読んだ。名前がいかつくどう言う本なのかと思ったが中身もいかつかった笑。物事をなし得るには、過度に目的を意識しすぎることなく日々の努力とそれ自体を楽しむことが必要である。継続することが苦手な自分にとっては非常に辛く険しい道であることが予想されるが、自分の人生を豊かにするためにも達人の道を選びたいと思った。個人的に「武士道」に近い概念を外国人が語ると言うことに非常に面白さとグローバルさを感じた。

■作者と概要

・作者はジョージ・レナード。人生のあらゆる局面に達人の境地があり、も日々の努力の積み重ねがそれを作るという主張。

■よかったインプットメモ

・マスタリーとは、はじめに困難であっったことが、練習や実践を積み重ねるうちに次第に簡単で楽しいものに変わっていく不思議なプロセスである。これはある種目的達成のために打算的に、最短ルートで駆け上がろうという思考とは真逆である。

・マスタリーの旅は予想外の苦労や報酬を伴うが「最終的な目的地」は存在しない。初めて技能を習得する際は短期間の上達のスパートがあり、その直後にプラトー(やってもやっても向上しない時期)が訪れる。かなりの時間をプラトーで過ごすことはマスタリーの旅の厳粛な事実である。

・認識システムと努力システムは習慣システムに情報を与えて習慣システムを再プログラムする。そのためマスタリーに到達するのにもっともな近道は勤勉に練習すること、それも練習のために練習をすることである。そして何よりもプラトーにいることを不満に思わず、感謝し楽しむことである。

・マスタリーに挫折するタイプは大きく3タイプいる。1タイプ目はだぶらーである。ミーハー型で心があちこち移ろいやすいタイプである。入門時に味わった熱中のシナリオをもう一度繰り返したくて別のことを始めるが成功するか否かは運である。ユングの言う「永遠のこども」タイプである。

・2タイプ目はオブセッシブである。せっかち型で考え方が辺境でゆとりのないタイプである。最初からすごい勢いで上達するがプラトーに陥ったことを受け入れられず早く成果を上げるための近道を探すことで頭がいっぱいである。短期間で一気に上達するがその後急激な後退の時期が来て傷つき転落していく。

・3タイプ目はハッカーである。のらりくらり型で意気地なしで熱心さにかけるタイプである。プラトーを苦に思わず、それなりであれば良いと言わんばかりにのらりくらりとしている。

・現代社会では目標の実現のために頑張るが、人生の中身はその成功・失敗に関わらず人生のプロセスそのもの、自分が今生きていることをどう感じているかで判断されるべきである。その視点で考えるとマスタリーは最も幸せを感じやすい。達人達は名声や達成を目的にはしておらず、ただ練習(プラトー)を楽しんでいる。

・マスタリーの旅に出るのであれば一流の指導を受けるのが一番であり独学は危険である。良い師か否かを図るには生徒との関わりを見るのが一番良い。一流の教師は生徒の間違いを指摘したらそのぶんだけ正しさも指摘するように務めている。

・達人の道を目指すのであれば練習の達人を目指すことである。達人とは誰よりも、毎日5分でも長く畳の上にいる者だ

・達人の勇気は進んで自己を明け渡そうとする姿勢で測られる。事故を明け渡すとは先生の指示に従い、自らが貸した規律の求めるとことに従うと言う意味である。また、場合によってはさらなる高みを目指すため苦労して得た技能を捨てることである。

・自分自身のなりたい姿、ビジョンをありありと思い描くことが大切である。想いの力は達人のたびにとってエネルギー源となる。

・達人は限界へ挑戦する。日々の練習に忠実であり新たな小さなステップを踏み出すのにも極めてうるさい一方、過去の限界にチャレンジする傾向が強く、危険を厭わないと言う矛盾する2つの面を持っている。

・人間には恒常性(ホメオスタシス)があり、変化を嫌う側面がある。達人になる決意を挫けさせないためにも①ホメオスタシスの活動に気づく(恒常性の抵抗と揺り戻しをあらかじめ想定すること)②変化に抵抗しようとしる自分との関係の調整(2歩進んで1歩下がることも厭わない)③支援体制を作り上げる④規則的に練習する(基礎的なホメオスタシスが得られる)⑤生涯学び続ける ことが重要である。

・マスタリーのエネルギーを得るには7つの方法がある。①肉体の健康を維持する②マイナス要素を知った上での積極思考(ポジティブ思考)③努めてありのままを話す④素直であれ、ただし事故の暗い部分に振り回されるな(感情のコントロール)⑤すべきことの優先順位を決める(自由とは制限を受け入れることである)⑥公言し、実行(時には自分で期限を決めるなど追い込むことも大事)⑦マスタリーの道を歩み続ける 

・マスタリーになるにあたっての落とし穴は①生活上での葛藤(優先順位付け)②オブセッシブ(頂上ばかり見上げてはダメ)③よくない指導④競争のない状態⑤過度の競争⑥怠惰⑦怪我⑧薬物⑨賞やメダル(外的な動機付けが増すと歩みが停止する)⑩虚栄心①クソ真面目(視野を広く持つ)②一貫性がない(ルーティーンにする)③完全主義(完璧さがマスタリーではない)

・つなぎの時間は存在しない。どのような動作にも人生において意味があり極めることができる。

■その他メモ

・禅の経典によると馬には4種類(最高の駿馬、普通の駿馬、駄馬、最低の駄馬)がいる。騎士の意思に意思に従ってスピードや方向を変える最高の駿馬、鞭が馬身を叩く直前に最高の駿馬と同様に走る普通の駿馬、無知の痛みがしみなければ走らない普通の駄馬、骨の髄まで無知の痛みが伝わらなければ言うことを聞かない最低の駄馬がいる。上手に走るための学習は最低の駄馬が一番難しそうと思い最高の駿馬になりたいと思う人が多いがそれは違う。あまりに簡単に覚えてしまうと真剣に努力する気ガシなくなり、練習の核心部分まで突き進めなくなる。

才能があるものでも花開かないものはたくさんいる。天賦の才を開花させるにはあまり才能のない者と同じくらい真剣な努力が必要である。

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