創造的な家づくり03 家族を再発見する
前回のnoteで書いた探究活動のひとつ。一緒に住む人を探究することのすすめです。
あなたは、一緒に住む家族のことをどのくらい知っているでしょう。
家族といっても、血縁関係だけでないことは、皆様ご存知のことと思います。1980年代の社会学の本に、「ペットは家族か?」という問いから始まる章があったことを思い出して驚きますが、家族の概念としての定義というものは、その時々、世の中の状況や文化的な意味づけによって、変わってきています。
近年の集まって住むカタチのシェアハウスも、その好例がいくつも挙げられますし、「仕事」とか「コミュニティ」を介して、血縁や制度としての家族関係以外の人と一緒に暮らすという体験も、珍しくなくなっています。
うちのまご(みたいなねこ)です。
と、「家族」というキーワードからいろいろな方向に話が広がってしまいますので、話を戻して(笑)、まずは「一緒に住む家族を知ること」について。
たとえ、夫婦関係や親子関係であっても、どんなものが好きなのか、嫌いなものは何か、「ある程度は知っているけど知らないことも多い。」というパターンも少なくありません。
家族の好き・嫌いを知ってますか?
たとえば、打合せの時に「好きなもの」というお題でヒアリングをしてみると、家族の「意外な答え」に話が盛り上がることが少なくありません。現在進行中でコレクションしているフィギュアや、CDや、本、ハマっている車やバイクなどの趣味は家族もご存知で、その扱いが話題に上がってきますが、たとえば、小さなころにどんな場所が好きだった、とか、生まれ育った家や街でどんな風景が思い浮かぶのか、とか、自分の原風景となるようなもの。
(私の原風景のひとつは、生まれ育った町の夕焼けです)
あるいは、今すぐではないけれど、いずれこんなことがしてみたいなぁと気になっていることや、時間やお金が許せばやってみたいことや学んでみたいこと。
もしかしたら、「家族にも語りたくないことがある」ということもを知らないかもしれません。
「語りたくないこと」を話す必要はありませんが、小さなころに好きだったものや、将来へのビジョン(たとえ今は曖昧模糊としていても)は、ぜひ共有していただいて、家づくりにいかしたい背景だと思います。(設計者の立場では、その方のルーツを知るような超貴重!な情報です。)
実は相手の暮らし方にモヤモヤしてませんか?
もうひとつ。知ってそうで知らないことで、一番注意が必要なものが、
「自分にどんな暮らしのクセがあるのか」
ということです。人は自分のやり方を「あたりまえ」と暮らしていますが、実はその「あたりまえ」に、同居する人(夫や妻や親子や隣人)はモヤモヤしていたりする場合があります。(例えば、家事の仕方とか、物の扱い方とか、ふるまいとか、細かなことに対して)
ひとつひとつは、その場は目をつぶれるような、一見、些細に感じられることなので、本当の想いを伝えることなく、なんとなくやり過ごしてしまう。ただ、ちょっとしたイライラを伴って。
当の本人は、相手がそんなモヤモヤを抱えているとは思っていないので、問題の本質(この場合は相手のモヤモヤの原因)に気づく機会がないわけです。今日は機嫌が悪いなぁ、とは思っているかもしれませんが。
そのモヤっとしたイライラ、飲み込めば飲み込むほど、加速度がつきます。だって、相手は気づいていないのですから。
なので、設計者である私は、あなたが、ご家族が家のことをどんなふうにやっているのかを質問します。細かなところまで。
その第三者への話題の中で、いつも飲み込んできた言葉がポロリと出てくることもあります。
「え~!そんなふうに思っていたの!?」
というのは、気づいていなかった相手のほう。
「早く言ってよ~!」
となる場合もあれば、
「だって、それはさ~!!」
となる場合もある。
でも、どちらの展開でも問題に向かい合うきっかけになるのだから、損はありません。いつかこじらせる予防にもなるのです。
ただ、この暮らし方の対話。平和に行かないことも多い(笑)。当事者同士だと
理性と相手への敬意をもって対話する、ということがしにくい話題でもあるんですよね。どちらかが責める口調になったり、耳を閉ざしてしまったり、意外なほどデリケートな話題です。
だからこそ、その不安がある方は、第三者である設計者をうまく活用してください^^。相手の話を「一緒に聴く」ことで、対話のお手伝いはできるかもしれません。
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村上有紀(ムラカミユキ)
楽しい住宅設計を仕事にしています。
もちろん、設計依頼をお受けしていますが(大歓迎!)、お施主さん(住む人)にとっても、間取りをつくるプロセスと学びは楽しいぞ!ということで、間取り好きで、自分で間取りをつくるエネルギーのある人へのサポートをはじめました。オンライン(時々リアル)でのスクール形式です。
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次回は、8月22日(土)20:00~21:00
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