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創造的家づくり02 探究する気持ち

家づくりには、
「たんきゅう活動」のような側面があります。

まずは、「理想の住まいをつくりたい」という目的のために、「どんな住まいがいいかな?」「どんな素材を使おうかな?」「いい家をつくる会社はどこかな?」という「探求活動」から始まることが多いかもしれません。

そのうち、たとえば興味を持ったキーワードから、その内容について興味が深まり、より本質的なところを知りたくなる、学んでみたくなる、そんな方もすくなくありません。そうなると家づくりを通して「探究活動」をしているといえます。

「探求」と「探究」の意味には、デジタル大辞泉によると以下のような違いがあります。


「探求」…あるものを得ようとしてさがし求めること。
「探究」…物事の意義・本質などをさぐって見きわめようとすること。

たとえば、「生まれてくる赤ちゃんに安心安全な素材をつかいたい」とインターネットでいろいろなメーカーの自然素材を探しているうちに、「国産の木材」が抱える課題を知り、日本の森林業界が抱える課題や国産材を使う意義に気づき、メリット・デメリットを理解したうえで、オール国産材での家づくりを実現したご家族がおられます。


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また、「新築かリフォームか、どちらが得かしら?」という関心から中古住宅の購入を検討していた方が、地域の空き家問題にふれて「自分事」として考え、個人の損得だけではなく、街への関わりについても考えるようになった方もいます。

「探求」と「探究」おなじ「たんきゅう活動」ですが、ものごとを「探究」した結果に選びとる選択肢は、その方にとって、またそのテーマにとって、深い意義を持つようになります。それは、そこから生まれる建物(家)にとっては命のような、そんな力強さとよりどころになると思うのです。

私が尊敬する建築家の多くは、仕事を通じて、何らかの好奇心のかたまり。いくつになっても探究活動が実に楽しそうに、一見困難なことにもチャレンジされています。


家づくりは、身近な日々の暮らしに関することから、前述の日本の森林問題のような大きなテーマまで、幅広いジャンルを横断するプロジェクトです。
あなたも!その家づくりを通して、「探究する気持ち」を探してみてはいかがでしょう。


「家づくりの次元がひとつあがる」
そんな風に思います。


自分で間取りをつくる!一番の意義や効果は、ここにあります。
ちなみに、スケールの大きなテーマが良い、ということではありません。

たとえば、「収納」というキーワードから「片づけ」や「モノと自分の関係性」を考えたり、自分にとっての「豊かさとは?」と深掘りしていくこと。
「外構」をキーワードに、街並みを見直してみて「街にとってうれしい住まいとはどんな住まいか?」と考えてみること。

ひとりひとりの、探究する気持ちが、よりよい住まいと街をつくる種になるのだと思います。

ちなみに、この「探究活動」、
教育の現場ではホットなキーワードです。

2019年から高校の新科目に「探究」という言葉が使われるようになっています。「総合的な学習の時間」から「総合的な探究の時間」へのバージョンアップです。

子ども達に「探究活動」の必要性があるということは、その先の今の大人にとって「探究で養われる力」が足りていないという実情の表れかもしれません。


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(写真が季節外れ…初冬のどんぐり探偵)


探究活動のお手本のひとつは子どもの姿ですが、
大人だって、探究活動。家づくりは、その絶好の機会なんですよ!


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村上有紀(ムラカミユキ) 


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