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正しさのナイフと優れたコンサルタント

今回は、新卒でBCGに入社し、現在もオープンイノベーション×コンサルの企業で働く身として、コンサルにおける"正しさ""優秀さ"について触れたいと思います。

コンサルをやる上で、ロジカルに正しいことは重要です。
一方で、コンサル=冷たい。頭でっかちでつまらないという印象を持たれがちでもあります。
正しさと優れたコンサルであることの関係について、
尊敬する先輩や、自身の失敗体験から、私が気をつけていることを2つお伝えさせてください。

[お伝えしたいこと]
①正しさはナイフである。ナイフを持っていることの自覚と、使い道が肝心である
②優秀なコンサルとは、人を動かすコンサルである


それぞれ補足します。


なぜロジカルに正しい必要があるのか?

コンサルをやる上で、そもそもロジカルに正しい必要があるのか?
意外と改めて考える機会は少ないんじゃないかと思います。

前段にある、そもそもロジカルに正しいとは何か?という話がありますが、こちらは追って記事にしたいと思います。
ここでは、ざっくり"再現性が高いこと"と認識ください。

私は下記2つの観点から、ロジカルさが必要だと考えています。
(A) 時間や環境によらない、再現性の高さを担保する
・起きている事象、課題の根本原因となっているものを突き止め、外部環境が変化しても極力再発しない形で課題を解消するため
・過去事象から、打ち手の確度が高いものを選択/実行するため
(B) 人によらない、共感性や標準性を持つ
・組織など、大きくものを動かすべく、多くの社員や顧客に共通認識をもってもらうため
・打ち手の実行者を選ばず、誰がやっても一定の成果をあげられるようにするため

組織の退職者を減らしたい!となった時、職人芸ばりに人を懐柔するのがうまい人事がいれば、もしかしたら退職者は減るかもしれません。
ではコンサルがそういう職人を連れてくるかというと、職人がいなくなったらすぐに課題が再発する場当たり的な治療であるため、より再現性のある形で"正しく"課題を定義し、解決する方法を選びます。

正しさ=ナイフという認識

正しさには解釈があるので、100人いれば100通りの正しさがあります。
ただし、ロジカルさが担保され、相手と正しさの合意ができている場合、
より正しい方、より正しくない方の関係が生まれます。

人は、自分が相手よりも正しいと感じているときに、”いかに正しいか”を話してしまいがちです。
ここで重要なのは
何かに対して間違いに気づいたり、自分の正しさを感じるときに
“正しさのナイフ”を持っていると自覚することです。

この自覚をしないと、自分が正しいこと自体に喜び、ナイフで相手をめった刺しにすることになります。
これは私自身もかなり失敗してきましたし、今だにやってしまうことでもあります。。

ナイフは危ないものですが、使いようです。
そのナイフでりんごの皮をむいてあげるのか、喉元につきつけて動かすのか、黙って鞘に収めるのか。
時には刺すことも必要ですが、無意識でナイフを振りかざさないように意識できるといいなと思います。

優れたコンサルとは?

BCGで働いた中で最も尊敬する先輩に、ある日突然聞かれました。
「村上、最高なコンサルと、最低なコンサルってそれぞれどんな人だかわかるか?」
当時自分が何と答えたか覚えていないのですが、つまらない回答をしたと思います。

そのとき先輩に言われたことは今だに胸に残っています。

最低なコンサルってのは、顧客から「正しいこと言ってるけど、
コイツが言うからやりたくない」と思われる人。 
最高のコンサルってのは、「何言ってるかわからないけど、
コイツが言うならやってみよう」と思わせる人だよ。

コンサルをやっていて、何言ってるかわからないのは致命傷ですが笑、
コンサルは課題解決が仕事であり、そのために人を動かせなければ元も子もないという話です。
正しさが商売道具のコンサルにおいて、当時この言葉は胸に突き刺さりました。


この記事を読んでいる方は、私なんかよりも相手を思いやることができる方ばかりだと思います。

一方で、”正しさ”や、そのために必要な知識や経験について研鑽を積んでいく中で、自ずとナイフの鋭さも、それを持つ機会も増してくることになります。

切れ味するどいロジカルの刀を持ちつつ、むやみに振りかざさずに人を動かせる。そんな人が優れたコンサルなのだと思います。
ロジカル逆刃刀を持つ、伝説の剣客に慣れるよう一緒に精進していきましょう!


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