アプリでオススメされたものを選んでいく人生

先日、友人氏とのやりとりの中で面白い話題があったので記事にしたいと思います。最近マッチングアプリで恋人を作る人が増えてるねと言うような話から、私が「(コロナ禍というのもあり)マッチングアプリを使わないと異性と出会えない社会に追い込まれてきた」というようなことを言ったところ、友人が「恋人も音楽も買い物も比較サイトで比較するか、”あなたにオススメ”を選んでいくような、主体性のない人間を大量生産できそうだ」というようなことを言っていて、それは面白い着眼点だなぁと思ったんですよね(この返しが私の友人って感じですね…)。

youtubeにしてもamazonにしても、頻繁に利用すればするほど、”あなたにオススメ”が充実してきて、本当に自分の興味のあるような内容の動画や本などが紹介されるので、実際にクリックすることもしばしばあります。ビックデータ、AIのなせる業という感じですね。閲覧履歴という個人情報を差し出す代わりに、自分に合った情報を勝手に選んで見繕って紹介してくれるわけで、自動コンシェルジュともいえる機能です。会社や媒体の売上にもつながる(というかそれが目的だけど)、双方にとってウィンウィンな機能なので歓迎すべきテクノロジーと言えると思います。

これだけ商品も情報も多様化して無数に存在している世の中だと、自分に必要で有益な情報を見つけるのも大変ですし、商品を選ぶのが面倒ということもありますよね。選択肢が多いほど選ぶのがストレスになるといった実験もどこかで見聞きした覚えがあります。「AI」とか聞くとなんだか信憑性があるようにも思えて、「選ぶの面倒だからAIやアプリがオススメしてくれたものの中から選ぼう」となるのも合理的ですし、これからの時代はすべての業態・業種において、「マッチング」というのは重要な機能になってくるんだろうなと感じています。就活なんかでもマッチング機能を使ったものもあったりするんでしょうね。

これは「自由からの逃走」ならぬ、「選択肢からの逃走」なのでしょうか。”毎日同じTシャツとズボンしか着ない”といった主義で生きている、何かを選ぶことはエネルギーの浪費だと考える人もいます。毎日服を選ぶのが楽しみという人もいるので考え方は人それぞれですが。何かの条件で選択肢が狭まることには抵抗感があるけれど、無数に選択肢があるのもまた面倒で、自分に合った妥当なラインで、ある程度のレールを敷かれていた方が生きやすいということはあるかもしれませんね。良いとか悪いではなく、そういうものなのかなと思っています。

私が応援しているサカナクションの山口一郎さん(だったと思う…)も、音楽の見つけ方の変化について語っていたような気がします。現在40歳の山口さんの若い頃は、店でレコードをジャケ買いして気に入ったり、失敗したり、そういった無数の音楽体験があったけれど、今はyoutubeやストリーミングで簡単に新しい音楽に触れられるようになった、と。今はジャケ買いはあまりなさそうですね(CD自体廃れ気味だし)。買う前に視聴もできるので「買って失敗」ということも少ないでしょう。今はyoutubeなどで気に入ったら、応援やお布施の意味でCDを買う、という感覚が主流になっているのではないでしょうか。また、当時は口コミサイトもなかったので自分の感覚(気に入るかどうか)だけが全て、だったのかもしれません。今は「自分の感覚」すらも、他人のコメントや口コミに左右されるようなところがありますよね。

もう一つ気になるのが、友人氏も言っていた「主体性のない」という部分です。これも確かにそうで、「自分の人生を生きている」という感覚は、「自分で選んだのだ、決めたのだ」という実感なしには得られないものだと思うので、オススメされたものの中から選ぶようなことばかりだと、なんだか漠然とした人生になってしまいそうな気もします。オススメする側が悪意に満ちていれば、情報操作や印象操作も簡単にできますし、本当は売れていないのに「これが人気です」などと表示させて騙すようなことも可能です。意思決定も、AI(のバックのグローバリスト)の手中にある…自分で決めたようでいて、ある思惑に沿って誘導されているのかもしれません。

これだけ情報に溢れていると、よほど自分で積極的に情報をつかんでいこうとしない限り、またある種の哲学や価値観を確立していない限り、”アプリのオススメ”に流されるような人生になりがちなのかもしれませんね。主体性のない思考停止の人間を作るのに、AIやビックデータのようなテクノロジーはとても役に立つのだと思います。オススメ機能には私自身も利点を感じているので、良い悪いなどの結論は特にありません。多方面での”マッチング化”は必ず進んでいくと思われますが、”オススメ”には恣意的な要素が加わることもあるし、それに頼りすぎると漠然とした人生になってしまう可能性があるので、その点十分留意してうまく付き合っていくのが賢明なのだろうなと感じています。

note過去記事一覧はこちら

ホリスティックな健康をサポートするGreen Cosmoのページはこちら

「note見た」で友達申請→村上遥のFacebook

Twitter再開しました!→Twitter

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?