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なぜ、働き方改革は”改革”なのか?

働き方「改革」とは、残業を含めた長時間労働の解消と考えている方がいます。そうであれば、おそらく働き方「改革」とは表現しません。働き方「改善」で十分だからです。
 「改善」とは、現状肯定の観点から改良を加えること。「改革」とは、現状を否定することから始めて、新たな世界を切り開くことを指します。つまり、改善は現状を肯定している一方、改革は現状の否定から始めるのです。
 では、現状の「何を」否定することから始めるのが働き方改革なのでしょうか?それは、「仕事が終わらなければ残業すればいい」というような”安易な残業依存体質”と、フルタイムを主軸とした”時間に融通が利く人材だけが働ける企業体質”です。

下の図は、働き方改革の2つの目的を整理したものです。

Sansan株式会社:「残業するな」は逆効果!? 正しい「働き方改革」とは。を筆者図式化

社員が時間にメリハリを付けて働くためには、「残業ができる状態の社員=良い社員」という価値観を否定することが必要です。つまり、働く時間は有限であるという前提に立ち、それ以外の時間は自分のために使うという自覚を持つことが必要です。これにより、「無駄な仕事と必要な仕事の見極めが可能となり、優先順位を決めて過剰品質を抑えた生産性の向上が期待」されます。

一方、多様な人材が活躍できる環境をつくるには、例えば重要なプロジェクトはフルタイムの正社員のみでメンバーを構成するなどという価値観を否定することが必要です。つまり、時短勤務や中途入社などの多様な人材が活躍できる適材適所のマネジメントが必要となります。
 ダイバーシティー経営を実践する上では、働きやすい環境を整備するためにITが活用されることも少なくありません。しかし、ITの活用により、仕事をする場所や時間が自由になるため、働く時間は有限であるという前提が成り立ちにくくなる欠点もあります。この点に対しては、「働き方のルールを明確に整備し、企業と社員との間で共有すること」が重要となります。

なぜ、働き方改革は“改革”と表現しているのか。それは、単なる労働時間の短縮ではないためです。
「残業ができる状態の社員=良い社員ではなく」、時短勤務や中途入社などの多様な人材も活躍できる「これまでとは全く違う職場環境をつくる」必要があるのです。

このような変革の時期に働き方改革をすすめなかったとしたら・・・。
 その企業に残るのは、「危機感が低い逃げ遅れの社員」と「忠誠心と過去の成功体験だけの大ベテラン」のみになってしまうかもしれません。そして、極度の人員不足では、働き方改革はより困難になってしまいます。

(参考)
Wizardz Plus:業務改善・業務改革「改善」と「改革」の大きな違い<https://www.wizardz-plus.jp/column/column74.html>(参照2022.11.7)

Sansan株式会社:「残業するな」は逆効果!?正しい「働き方改革」とは。<https://jp.sansan.com/form/pdf/whitepaper-works-way-reform.pdf?utm_campaign=Nurturing_Mail&utm_medium=email&_hsmi=231865260&_hsenc=p2ANqtz--kflk0AGJc8dX_Xth0Im9lNin-NQy6gtOuSF165mMrHyQm_RWQjEoyGeVVPmY_2ohLLba1uO34wgPF2nRnm77Ls5Bgkg&utm_content=231865260&utm_source=hs_automation>(参照2022.11.1)

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