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これからの時代の報(告)・連(絡)・相(談)

 現在日本では、ICTを最大限に活用し、サイバー空間と現実世界との融合による超スマート社会の実現を推し進めている(Society5.0)。一方、生産年齢人口の減少も影響し、世間では「働き方改革」や「ライフ・ワーク・バランス」などといった「労働の効率化」を推し進めている。ところが、社会生活で必ず求められる報告・連絡・相談(以下、報連相)は、「超スマート社会の実現」や「労働の効率化」と足並みを揃えて進化しているのだろうか?

 私の知る限りでは、その答えは「No」だ。その理由は、報連相を行うためのICT(日常利用するのは電話及びメール)が適切に選択されていないことにある。

 大辞林第3版によると、報告とは「与えられた任務の結果などについて述べること」であり、連絡とは「関係の人に情報などを知らせること」、相談とは「問題の解決のために話し合ったり、他人の意見を聞いたりすること」である。報連相を行うためのICT選択の基準は、「双方向的なやり取りの必要性」と「緊急性」である。

 「双方向的なやり取りの必要性」は、「相談」>「報告」>「連絡」である。一方、利用するICTである電話の特徴は「オンタイム」であり、メールの特徴は「オフタイム」である。したがって、緊急性のない「連絡」は全てメールでよく、緊急性のある「連絡」や「報告」は電話が望ましいと私は考えている。しかし、「相談」だけはアポイントメントを介したFace to Faceが有益と考えている。それは、「相談」はメールでは煩雑となり、電話ではどれだけ必要かもわからない時間を状況に関わらず強制的に相手から奪う。だからこそ、時間的制約を気にせずに確実性の高い意思決定を共有する必要がある「相談」だけは、アポイントメントを介して双方の心情も読み取れるようなFace to Faceが有益と考えているのである。

 印鑑社会の日本。複数部署から合議を得ることを「スタンプラリー」と揶揄されることも少なくない。時間を含む限られた資源の中で、コミュニケーションの質を高めて遅延なく確実性の高い意思決定を行うために、報連相も時代に合わせた進化を遂げるべきではないだろうか…。

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