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リハにおける飛沫感染予防策一考

厚生労働省によると、新型コロナウイルス感染症は「飛沫感染」と「接触感染」の2つが考えられている。リハにおける「接触感染」の予防については、筆者のnote「手指衛生の必要性とその方法」で整理しているので参照いただきたい。本稿では、リハにおける飛沫感染予防策を整理し、筆者が試作して部門内で使用を開始した「簡易フェイスシールド」について紹介する。

飛沫感染1

上の図は、飛沫感染を避けるためのリハ実施上の配慮をまとめたものである。外来患者は入院患者に比べて、直近2週間の行動歴や接触歴を把握できない。したがって、少なくとも外来患者に対するリハ介入時には、サージカルマスクとフェイスシールドを併用することが好ましいと考える。その根拠は、マスク+目の保護を行うことにより、暴露のリスクは就業制限のない「低リスク」に分類されるためである。また、眼の保護を行うために筆者が試作した「簡易フェイスシールド」を図の中段左に示す。写真の掲載についてはモデル本人の許諾を得ており、その作り方については後述する。具体的なリハ場面としては、起立練習や起立介助、指導及び教育を行う際は、患者との対面を避けることが飛沫感染を予防する上で必須となる。

飛沫感染2

上の図は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行期の嚥下訓練等における感染対策をまとめたものである。筆者が勤務する医療機関の地域は、2020年4月22日現在で非流行地域に区分されている。この場合、感染リスクの低い基礎訓練(粘膜や分泌物に触れない)を行う場合の推奨PPE(個人防護具)は、サージカルマスク+手袋であり、接触や飛沫を伴う基礎訓練(口腔粘膜に接触する)及び摂食訓練の推奨PPEは、サージカルマスク+手袋+ゴーグルとされている。この図を俯瞰する限り、STが行う嚥下訓練等の多くの状況でゴーグル等による眼の保護が推奨されていることがわかる。

以上のことから、新型コロナウイルス感染症流行期のリハにおいては、飛沫感染を予防するための眼の保護が必要であることが明らかとなった。しかし、当院を含む多くの医療機関では、目を保護する防護具が不足している現状がある。これに対し、クリアファイルを加工したフェイスシールドがインターネット上で広く知られているが、コストが高く、作成の労力が大きいというデメリットがある。

飛沫感染3

上の図は、筆者が試作した「簡易フェイスシールド」の作り方である。A5サイズのラミネートとパウチがあれば、サージカルマスクにホチキスで固定するだけであるため、クリアファイルを加工して作るフェイスシールドよりも低コスト・低労力で安全を確保することができる。フェイスシールドの使用数の多い医療機関や、フェイスシールドの不足に悩まされていた医療機関の方に是非試用していただき、必要な工夫や改善点を皆で共有できれば幸いである。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、今や国難である。リハセラピストを守る立場にある全国のマネジャーが知恵を出し合い、さらにそれを共有することで、皆で一丸となってこの難局を乗り越えたいと切に思う。

以下、出所リンク先(access 2020-04-22)。



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